螘サンバカーニバル

けそのブログだよ

コンテンツ月記(令和四年、卯月)

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私が住む東京ではすっかり桜の時期は終わったけれど、4月号なので桜の写真を。2年前、世界一周を(コロナで)断念して帰国したとき撮ったもの。帰国は悲しかったけどほっとした。

読んだもの、観たものを、書きなぐりのメモで記録します。完読できてないものも、書きたいことがあったらメモします。すでに長めのレビューを書いてるものや書く予定のものは、基本的に除いてます(…と言いながら、ここで書いてる感想も割と長いんだけど)。


例によって、つい最近読んだり観たものの感想から、しばらく寝かせた感想まで、幅があります。ちょっとずつ書いていきましょうね…。

 

今月のお品書き↓

 

==評価基準(特に記載したいときだけ)==
\(^o^)/ 乾杯。愛。最高の毒なり薬。
φ(..) 特別賞(今後思い出すだろうシーン有等)
==ココカラ==

ドラマ

(最近、配信のドラマは1話30分くらいのが多くて、映画より観やすいのでよくドラマを観ていますの…)

思うままの世界 \(^o^)/

アマプラで観た。今年観たドラマベスト5に入ることは確実だろうなーという作品。
1話1話それぞれが素晴らしく、テンポもよく、笑いと感動の濃厚さがすごかった…。すっごく予算がかかってる作品じゃないと思うんだけど、満足度が高かった。お金をかけなくても良い作品はつくれるっていうお手本だと思う。
私が観たいのは、こういう作品です!!!

シェアハウスで暮らす自閉症スペクトラムの3人の若者と、家族やヘルパーなど彼らをとりまく人々を描いたアメリカのドラマ。
私自身が、最近知的障害・発達障害をもつ人たちにかかわるアルバイトを始めたこともあって、いっぱい思うところあった…。


まずこのドラマの進んでると思うところは、この自閉症スペクトラムの若者たちの役を、実際に自閉症スペクトラムの役者さんが演じているということ(本当は、そうじゃない現状のほうがおかしいんだけど)。

ファストフード店でレジの仕事をしていて恋愛や性行為に憧れているヴァイオレット、天才プログラマーで社交辞令が大嫌いなジャック、音に敏感で歴史に詳しい穏やかなハリソン。それぞれが苦手なことも得意なことも全然違って、一口に「自閉症スペクトラム」と言ってももちろんいろんな人がいるんだという…当たり前だけど大事なことが、このドラマを観たらよくわかる。

みんなチャーミングな人たちで、どんどん夢中になって観た。でも、「たとえば家族という立場でずっと一緒にいると、困りごとに対処しきれなくなっちゃうかもしれない…」ということも同時に感じた(たとえばハリソンは卓球が大好きでいつまででも卓球をしたがる人なのだけど、彼の家族はずっとそれに付き合うことを「ちょっと現実的じゃない、希望にはなるべく応えたいけど」って思ってる)。障害があることを「ギフト」と言って持ち上げたって、実際に生きていく上で立ちはだかる困難は消えないわけで…。ただの「厄介者」として描くのでもなく、「特別な存在」として描くのでもない、日常ドラマだったところがとてもよかった。外国に行くと違う文化やルールで人々が動いていることを感じるんだけど、障害を持つ人の世界もそれと同じで、違うルールで動いているんだろうな、と最近思う。それを、無理やり定型発達の人のルールに合わせようとするから、困難が生じちゃうんじゃないかな…。どうしたらうまく一緒に暮らしていけるんだろう。

聴覚障害者のご両親がいる五十嵐大さんの連載「聴こえない母に訊きにいく」を読んだときも、そんなことを思った)

ドラマの話に戻ると、3人を取り巻く人たちもすっごく魅力的で、よかった~。
私は、特にヴァイオレットのお兄ちゃんのヴァン(困ったような笑い方に胸がきゅっとなる)と、ジャックのお父さんが通う病院で看護師として働くエワトミ(ユーモラスでまっすぐで旺盛な好奇心で人生を楽しんでいる人…)が好き。

 

一つ気になったのは、AVに出演していた女性が、ある男性たちが仲良くなるきっかけとして「使われている」こと。このドラマは、自閉症スペクトラムの人の性についても真剣に描こうとしていてそこはすっごく大事なことだと思うんだけど、だからと言って女性を男性が仲良くなるための「道具」としては配置してほしくなかったなあ…。


と、気になる点もありつつ、もうずーっと泣きっぱなし笑いっぱなしで心を動かされたドラマだったので、シーズン2を心待ちにしている!

これを観る機会をつくってくださったシネマンドレイクさんに感謝。

 

行かないで

行かないで

  • デレ・オグンディラン
Amazon

 

ヒヤマケンタロウの妊娠 φ(..)

Netflixで観ている。
まだ完走はできてないけど、もっと話題になってほしいので紹介する。こういう作品こそ、地上波でやってほしかったんだけどなあ。
マンガ原作のSFドラマです。原作者は『シジュウカラ』(こちらも最近ドラマ化されましたな)の、坂井恵理さん。

舞台は、シス男性が妊娠する現象が生じた世界。日本でも、毎年40人ほどのシス男性が妊娠している。主人公は、そんな男性妊娠をまったく他人事だと思ってきた広告代理店勤務のエリート会社員・桧山健太郎(演じているのは斎藤工氏)。仕事は絶好調、適当に遊ぶ女の子が何人もいて、子供を持つ余裕なんてないと思って生きてきた。そんな彼が、まったく予想外のタイミングで妊娠してしまってどうなっちゃうのー!?という話。

原作者の坂井さんもインタビューで答えていたけれど、実際に人間が演じるとこんなにも「男性妊娠」に説得力が生じるのか…!とまずそこにびっくり。妊娠するとつわりが生じるってことは認知度が高いと思うけど、体毛が濃くなったり、乳首の色が濃くなったり、急に母乳(このドラマの場合は「父乳」だが)が出たりすることって知らない人もいるんじゃないかな(←私もこれらは実体験じゃなくて知識として知ってるだけですが…)。そういうことを「教育ドラマ」「お説教ドラマ」にせずに、ちゃんと観やすく面白く仕上げているところが良いと思う。
妻の妊娠・出産を「手伝おう」くらいにしか思えていない男性、全員観たほうがいいのでは…。

(連載版をネットで読んでるので、単行本版はまだ読めてないけど…)峰なゆかさんのマンガ『わが子ちゃん』をあわせて読むときっといいんだろうなあと思ったり。

(峰さんらしい、コミカルだけどしっかり問題点がおさえられてる、絶妙なバランス感覚のマンガ。ネットの連載で読んだ話には、「お父さんたちも赤ちゃんの重さを体験しましょう」としてお腹に重りをつけるイベントがよくあるが、それだけでは女性たちが体験しているその先のキャリアへの不安感も吐き気も体形の変化もまったく体験できなくて、それだけでわかった顔されてもまったく不十分なのだが!?というエピソードとかが描かれていた。ドラマ『ヒヤマケンタロウ…』では、妊婦未経験者の人にもそういうキャリア的な不安等も臨場感を持って伝わってくると思う)


ドラマの話に戻って。
ネットの情報によると、アメリカで本作は「トランス男性の妊娠を描いた作品なんだろう?」と勘違いされて、炎上しているらしい。トランス男性の妊娠を描いたら叩かれるってそれがそもそもおかしいよな…。

 

脇を固めるキャストに、筒井真理子さん(映画『よこがお』も『淵に立つ』も素晴らしい演技だった!)や高橋和也さん(映画『ハッシュ!』と『そこのみにて光輝く』の演技が特に好きです!)。豪華~。
さらに、『あのこは貴族』の岨手由貴子監督が脚本として参加してる!!豪華~。この人たちがかかわってるドラマなら信頼できるだろうと私と恋人は安心して観ています笑。

 

youtu.be

 

マンガ

AV女優ちゃん(2・3巻) φ(..) 


元AV女優のマンガ家・峰なゆかさんによる、実体験を大いに反映しているんだろうな…な、AV女優のお仕事マンガ。コミカル風を装っているけれどもすごく重い。巻を追うごとにどんどん内容が重くなっていく…。軽いタッチで描かれているけど、AV女優として働く人の安全はまったく守られていないことに何度も触れていたりして(たとえば撮影中に女優が妊娠したりしても、制作会社はその責任を一切負わない)、これをSPA!で読んでるAV好きの人ってどんな気持ちなんだ!?(←私はこの連載の気になる回があったときだけSPA!を(Kindle Unlimitedで)DLして読んでるんだけど、エロい女の子の写真とセックスの話ばっかりで、ほんとにこれ読んでる人みんなそんなに性欲が有り余ってるの!?と毎回驚いている。性欲が旺盛なことそのものは問題じゃないけど(加害に向かわないのであれば)、それってほんとに自分の中から発生してるものなの!?欲望を無理やり煽られてるだけなんじゃない?)

2巻には、障害をもつ女優はAVに出られないことになってるという話やAV男優になるまでの道のり、AVの歴史なんかの話が、3巻には、知り合いにAV出演がばれてしまった女性の話や無許可で海外の島で撮影を行う話やAV界での熟女の定義は28歳以上であること(!?)なんかの話が出てくる。

特に3巻に出てくるある女優の、女のことが嫌いな女になるまでのエピソードがつらかった。『82年生まれ、キム・ジヨン』に撃たれた人にはぜひ読んでほしい巻。

2巻の巻末には、峰さんとウシジマくんの作者・真鍋昌平さんとの対談が載っていて、これがまたすっごく面白くておすすめ。「『ブスと美女の中間』を描ける作家は少ない」って話とか(めっっちゃわかる。マンガにおいて、「女」であることを示す記号が目がぱっちりだったりスタイルいいとかだったりするんだよな!!!)、「クズ」には「自己完結型」と「出世型」の二種類がいるって話とか、峰さんが出会ったアンバランスな金銭感覚を持つAV女優友達の話とか、この二人の対談だからこそ読める内容がいっぱいあって大満足だった。

 

 

Happiest in the Universe: 宇宙一幸せ日記 φ(..)

Twitterでフォローしているレズビアンカップル・おーちゃさんと、その彼女ぴ・うーちゃさんの、日常マンガのまとめ(自作本)。今のところ、Kindle Unlimitedの対象になってる。


私は、複数の人間が一緒に住むために必要なのは愛よりむしろ互いを尊重する気持ちだなーとここ数年思ってるんだけど、愛と尊重がマックスなお二人の生活の様子は、「ここには世界平和がある…」と癒される。

(日本、なんで同性婚がまだできないのか。理不尽すぎる!!!)

作者のおーちゃさんは、生活の中に嬉しい瞬間を見つけることや、楽しくなるため・快適になるためにお金を使うことが上手な方なので、自分の生活に取り入れられるアイデアもいろいろあると思う。近所の行ったことがないパン屋さんに行ってみたり、アイマスクをつけて瞑想する時間をつくったり。
読んでいると自然と笑顔になってしまう…。とにかくかわいい…。