螘サンバカーニバル

けそのブログだよ

けそのきまぐレた~(2023年12月号)

四分の一に切られたバターケーキ

フランス菓子店タマミィーユさんの『サリュー!』というバターケーキ

※クリスマス用に食べたの?と思われそうな写真ですが、食べたのは10月です。同居人のノビオちゃんがお取り寄せしてくれたもの。洋酒が効いてて、すっごくおいしかった!

shop.tamamille.jp



めっちゃくちゃお久しぶりです!けそです。
気づいたらもう大晦日!早い!

今年が終わるまでに一本は記事を仕上げたくて、長いこと寝かせていたこの記事に手をつけています…。きっとお休みモードの方も多いし(お仕事の方はそのあとお休み取れますように…!)、本当はもう少しカジュアルな話にしたかったのですが、メインが重めのテーマになってしまった…。

 

この数か月、(引っ越したので)初めての北陸のずしーんとした冬のムードにやられて、生活リズムをつくって体調を整えることが難しくなかなか記事が書けない中で、以前週刊~月刊くらいのペースでnoteで(勝手に)連載していた、そのとき自分が興味あることをまとめていたテキストラジオ「ウィークエンドけそ」をちょっと読み返していました。

note.com

 

書いているときは「これ本当に需要あるのかな…?」と思っていたのですが(でも、熱いコメントくださる読者の方がいらしてとても励まされました)、今読むとそのとき自分が何に関心を持っていたのか、ネットでどんなことが話題になっていたのか、確認することができて結構おもしろいのです(自分が興味あることについて書いてたんだから、そりゃそうだ、という感じではありますが)。

また、いつかは有料ニュースレターをつくりたいとずっと思っていて(そうじゃないとどうしても他の仕事より後回しになっちゃうから…書きたいことはいろいろあるのに!)、テーマとか頻度とかそもそもどこでやる?とかいろいろまだ検討中ですが、その準備運動として何か書きたい気持ちもあり、ゆるめの月刊くらいのペース(つまり、たぶんしょっちゅうお休みするので結果的に季刊くらいになりそう。笑)で、再び勝手に連載コーナーを始めてみようかなと思いました。いつ書けるかはわからんぞ、の気持ちも込めて「けそのきまぐレた~」というタイトルにしてみました。

 

では、今回の最初の部門!

 

今月の気になる部門

先述の通り、今年初夏に北陸地方に引っ越しまして、せっかくおいしい魚を食べるのを楽しみにしていたのに、そして引っ越し後はもりもり食べていたのに、始まってしまった、福島原発のALPS処理水の海洋放出…。

印象だけで「汚染水」と呼ぶとしたらそれはただの風評被害を引き起こす事態になっちゃうけど。もし本当に「汚染」されてるなら、それは「風評」じゃないんじゃない?実際はどうなんだろう?と気になって、少しだけ勉強しました。そして、あれは「処理水」って呼んでオブラートに包むのはやっぱりよくなくて「汚染水」って呼んだほうがいいと思うに至りました。

まだまだ勉強中で説明できないところ、(原発の仕組みや核廃棄物の処理等について)理解できていないところもたくさんあるのですが、いったん途中経過として、私が勉強にあたって観たものと読んだものを読者の皆様にシェアします。本当は一番話が盛り上がってるときにシェアできたらよかったんですが…、でもまったくこの問題は解決していないので、今シェアすることにも意味があると信じて。

1.烏賀陽弘道さんのYOUTUBE動画

動画で話されている烏賀陽(うがや)さんは、福島を原発事故以降ずっと取材してこられたジャーナリストの方です。

 

youtu.be

この問題の論点について、まず理解するのにすごく役に立つ動画です。

そもそも汚染水を今処理する必要はあるのだろうか?とか、他の処理方法の候補にはどんなものがあって、それらはなんで却下されたんだろうか?とか、そういえばそこって無視あるいは軽視されて議論が進んじゃってたのでは…?って項目を総ざらいできます。

ただ、烏賀陽さんは旧Twitterでもすーごく有益なことを発信されてるのにミソジニー女性嫌悪)や冷笑を織り交ぜてくることがあってそれがすごく、すごく気になります!そこはスルーできない。。。この問題に限らず、何かを勉強しようと思ったとき、同時に差別まで飲み込まなきゃいけない現状に、私はいつも、すごく怒っているし悲しく思っています。

2.漫画『いちえふ』(1巻)

福島第一で除染作業に従事されていた方が描かれた漫画。

 

体験した方じゃないとわからないこと(発電所の中の地図とか、どのような作業をしてるのか?とか)を描いてくれているのでありがたい資料だとは思いつつ、「作業に従事してる俺たちが死んだりしてないんだから、原発が危険だって断定することはできないだろう」と書かれたりしている等、賛同できない部分も多かったです(核の人体への影響は、もっと長い期間観測しないとわからないことも多いし、科学的に検討された上で発せられてる見解じゃないから。もちろん、現場の人じゃないとわからないこともたくさんあると思いますが、知識にはそれぞれが得意とする分野があって、「人体に及ぼす危険性の検証」は現場の人の印象だけで結論づけられる分野ではないと思います)。大局的に見られないから事態を過小評価しちゃう、っていうことは原発事故に限らずいろんなとこで起きてると思う。今回の勉強の目的は、「印象じゃなく科学的な見地から、どのように海洋汚染に問題があるのか確認する」ということなので、2巻から先は読みませんでした。

 

3.学習漫画原子力のサバイバル1,2』

同居人のノビオちゃんが買ってくれた子供用の学習漫画です。理系の学習漫画って初めて読んだかもしれませんが、漫画はすぐに読み終われるから勉強に取り掛かりやすくて助かりますね…。ストーリー形式になっていて、原子力原子力発電についての事柄をときどき解説も挟みながら教えてくれます。

 

この漫画はチェルノブイリ・福島・スリーマイル島のそれぞれの原発事故の原因や、原発の炉にはどんなタイプがあるのかについて、原発の仕組みについて等、シンプルな情報ながらよく整理して説明してくれているので読みやすいです。シンプルなのでこれで問題点等まるっとわかる、というものではないですが、まず入門に便利な漫画だと思いました。この学習漫画シリーズ全部読んでみたいなー。

4.ドラマ『チェルノブイリ

私はU-NEXTの観放題で観ました。有料だけど、アマプラでも配信はしています。

それは人的被害が人類史上最悪の事故の一つであった。1986年4月26日、ソビエト連邦チェルノブイリ原子力発電所で大規模な爆発が起こり、核物質がベラルーシ、ロシア、ウクライナそして遠くはスカンジナビア、西ヨーロッパまで飛来した。この心を掴むパワフルな5話からなるミニシリーズは、早朝に起きた爆発からその後数週間、数ヶ月間の間の大混乱と人的被害の悲劇を見せる。

(アマプラの作品紹介ページより引用)

ということで、チェルノブイリ原子力発電所の事故が発生した経緯と、その影響、そして後の処理の過程を見せるドラマです。それぞれが自分の信念と身の安全を天秤にかけて悩みながら選択する様子、交流していく様子は、人間ドラマとしても素晴らしいです。

ライターのシネマンドレイクさんのブログ記事によれば、このドラマに登場する主要人物は多くが実在の人物ということ(ゴルバチョフも出てくる)。

レガソフという物理学者(この人も実在の人物)が最終話で話した、この事故が発生した根本的な原因、世界のいろーんな問題に通じるよねって思って本当に、本当に苦しかったです。いつも、市井の人々の命や健康や穏やかな生活よりも、「えらい人」の見得やお金ばっかり優先される。だから政治を見張らなくちゃいけないし、必要に応じて抗議しないといけないと思う。

このドラマ全体としては、誰か特定の個人を責めてそれで「問題解決」ってするんじゃ足りない、っていうメッセージを全体で発信してはいますが、パワハラ上司の暴走はとんでもないことを引き起こすことがある、って話でもありました。組織の風通しのよさ、誰でもおかしいと思うことを発信できる環境をつくることって本当に大事。

性善説に頼った仕組み(いつも、すべてのスタッフが、ミスなくスムーズに手順を遂行するだろう、という根拠なき信頼のもとにつくられてる仕組み)は、いつか必ず大きな事故を起こしたり破綻したりします、人間はぜんぜん完璧な存在じゃないから。見得とかプライドを守ることが優先される「システム」を破壊していかないといけないんだと思います。


予告編↓

youtu.be

 

5.本『放射性物質の招待』

私が調べたときはKindle Unlimitedの対象だったので借りてみました。まだ全部読めてはいません。

(私は前にnoteで別の記事でも書いたことがあるのですが、図書館で期限までに本を返すという行為が本当に苦手で…、対象電子書籍読み放題のKindle Unlimitedを使っています。もちろん、図書館より扱われている本は少ないですが、何かについて専門家が解説しているものを今読みたい、というときに結構新書が入っていたりするので便利です)

ここまで述べてきた参考資料の中で一番詳細な情報が得られます、そこが本のメリットですね。でも、消化するのに時間のかかる内容でなかなか読み進められません…。

他にも勉強したいことが渋滞していたりでなかなか読書ができないんですが…、この本を読むことも含めて、引き続き原子力発電所のことについては休みながらも勉強していきたいと思います。今勉強している(というか積極的にドキュメンタリーを観てる)ことはパレスチナイスラエルについてなので、次回はそれについて書けるといいかなと思っています。他にもいろいろ映画とかドキュメンタリーも観たから、その感想を書けるといいな1月に…。


おまけ

「でも、他に経済的にOKな発電方法がなかったら原子力発電に頼るしかないのでは?」と思っている方に。

恋人のノビオちゃんが教えてくれたんですが、太陽光発電のコストは、数年前に比べて激烈に下がっているらしい!日本ももっとごりごり太陽光発電進められたらいいのに!!ということで、こちらの動画も貼っておきます。

 

youtu.be


それでは、次のコーナー。

今月のおすすめ

本でも映画でも漫画でもサービスでも食べ物でも、皆様におすすめしたいものをなんでも置いちゃおうという太っ腹なコーナー(ウィークエンドけそはコーナーを多く設置してしまったことで書くのを挫折しちゃう回が結構あったので、コーナーを減らした)。

 

今回のおすすめは、

俳優の松岡茉優さんと伊藤沙莉さんのポッドキャストお互いさまっす』!

www.youtube.com

最近、ゆるめのポッドキャストが流行ってますわよね。

私はお二人の演技とか柔らかい雰囲気がすごく好きで、あと互いにちゃんと敬意をもって仲良くしてる人たちの盛り上がってる会話を聞くのが好きなので、優しい気持ちになりたいときに聴いています。

それぞれの温かさや努力、これまでの苦労などが感じられる番組で素敵なんですわ…!各回20分前後で短いのでちょっとした合間に聴きやすいのもナイス。

YouTubeチャンネルがあったのでそれを貼ってみたけど、各種ポッドキャストのアプリで聴けると思うのでぜひ聴いてみてください~。


追伸)

そういえば、やっと招待されてBlueskyに入れたよ!

自分の投稿はまったくしてなくて主に人の投稿を読む用ですが、よかったらフォローしてね~。

bsky.app

ちゃんと貼れてんのかこれ?


招待コード、すこーしずつしかもらえないんですが、それでもよかったら入りたい相互フォロワー様はご連絡くださいな!

 

ーー

それでは、また次回!

皆様それぞれ、できる限り穏やかな年末年始を過ごされてくださいまし!

カルディのビャンビャン麺を、香りましましにして食べる

カルディのビャンビャン麺のパッケージ正面のアップ

画数の多い漢字好きの心が躍るパッケージ

料理下手 but 毎日違う味を食べることには異様にこだわってる女、けそです。

新型コロナが流行り始めてから外食することをほぼやめたので、いかに家ご飯をマンネリ化させないかの研究に、日々心血を注いでおります。

ということで、今月はカルディ・オンラインストアでいろいろ買って試してみようキャンペーンを実施中。今日は、そのキャンペーンの一環で購入したビャンビャン麺を作ってみました。

 

麺のパッケージ裏で紹介されてる食べ方(ひき肉&ゆでたほうれん草をトッピング。担担麺っぽい)だと具が少なすぎてお腹が減っちゃいそうだし、あまりフレッシュさはないんだよなあ…

…と思ってアレンジレシピを検索していたところ、発見したのがこちら↓の記事です。

今回は、ここで紹介されている、ヨウポー麺風アレンジを試してみることにしました。

www.syokuraku-web.com

 

ちょっと前に、韓国市場で大量に牛&豚ひき肉を購入して毎日もりもり食べていたことから、ちょっと牛&豚ひき肉の味に飽きてしまった私(洋風とか中華風とか和風とかいろいろ味付け変えればいけるか!?と思ったけど、同じ食材が続くとやはり飽きる…)。

↑のレシピで使われているのはおそらく豚ひき肉かと思うのですが、今回はこちらを鶏ひき肉にチェンジしてみます(胸ひき肉多め+ちょっとももひき肉も混ぜて。むね肉のみだとぱさぱさしちゃうかもしれないので)。

鶏ひき肉だと豚や牛のひき肉より淡泊な味になっちゃうおそれがあるので、もとのレシピよりちょっとしっかりめに下味をつけて炒めてみることにします。味付けに使ったのは、塩、こしょう、牡蠣だし醤油(←なんかうまみが増せそうと思って入れましたが、今回の料理に関しては、普通の醤油でもたぶんあんまり変わらないかもです)とほんの少しの五香粉、あとこちら。

四川風具入りラー油の瓶の写真


中国出身の友達の家に行ったとき、彼女が近くの中国食材店で買ってくれた調味料です。ネットで調べると、「四川風具入りラー油」という名前で売ってたりしますね。

 

具入りラー油の瓶の裏の成分表のアップの写真

ナッツがこれでもか!!と入っているので、香ばしさとかりかりした食感を簡単に加えることができます。一番知りたいのは「香辛料」の内容だけど、それは企業秘密なのか?、書いてありませんね。ふつうのラー油に比べて、八角のような香りが強いので、少し加えるだけで本場の味っぽくなります。とにかく香りがいいです!

友達は、湯豆腐に少しだけこれをかけることを教えてくれました、そういうシンプルな食べ方もおいしいです。一口サイズに切った鶏肉(ももか胸)と野菜(青菜系とパプリカとか)を軽く塩振ってごま油で炒めて、マヨネーズとこれ、ほんの少しのはちみつで味付けしたりしてもおいしい。

すっごくおいしいけど結構辛いので、使う量には注意(小さじ1杯入れるだけでもしっかり辛いです)&お子さん向けには厳しいかも。

まだしばらくはなくなりそうにないけど(結構いっぱい入っているから、賞味期限切れるまでに使い切れないかもしれない…!)、Amazonとか楽天でも売ってる↑ので、近所の店で売ってなかったら通販で買うつもりです。

ベーシックな調味料じゃないものがレシピに出てきたときはなるべくそのものを買わずに「〇〇 代用」で検索して、家にあるものを混ぜて代用品でつくるようにしているけど(たとえばバルサミコ酢とか、ワインビネガーとか。瓶で買っても使い切れる気がしないので…)、この調味料は入れるだけで本格派の香りにする力が強すぎるので、代用品じゃ足りないんですよね(まあバルサミコ酢とかワインビネガーも、本物を使うとよりよい香りになることは間違いないんだけど)。

で、こちらが完成図です。

完成して皿に盛ったビャンビャン麺の写真

野菜を細かく切ることができないのでネギが巨大ですが、許してください(?)。

元イタリアンレストラン調理アルバイトの同居人・ノビオちゃんいわく、「麺類なんかの盛り付けは、高さを出したほうがおいしそうに見える」とのことなので、上へ上へ盛っております。

麺がゆだったら、まずそちらに付属のスープをからめて、それからトッピングを載せました。

私は麺料理を作るとき、麺より具の量を多くすることを基本的には信条としているので(そうじゃないとお腹すくのが早いし、炭水化物が多いと頭がぼんやりしてお腹が重い感じがするので。毎食野菜とタンパク質をいっぱい食べたい派です)、鶏ひき肉はもりもり300g入れてみました(つまり一人分は約150g。多いな!)。
麺もゆでて野菜もゆでて…ということを面倒に感じてしまう私は、温野菜たち(きゃべつ&にんじん)はレンチンで仕上げます。600W3分くらいで、適当に。にんじんは薄く長く切ったほうが麺と絡めやすいだろうなーと思って、ピーラーで処理しました。

四川風具入りラー油でひき肉を炒めたことで十分辛さを足せたと思うので、食楽のオリジナルレシピでトッピングに入っている唐辛子は入れませんでした。その代わりに、刻んだショウガを載せています。上に載ってる丸いのは、ホールの山椒です。山椒(粉)のちょうどいい量の詰め替えパックがなかなかないので、仕方なく買ったホールです(が、このほうが爽やかな香りを強く感じることができる気がする)。

(山椒と言えば、前に実山椒の佃煮を買ったこともあるのですが、実山椒が一番生きるレシピは今私が知る限りでは↓これだと思っています。簡単に作れるマーボー豆腐なのにめっちゃくちゃおいしいです)

hanako.tokyo


実食後の感想

麺がもっちりつるつるですごくおいしかったです。付属のスープも、まろやかさと酸っぱさがある深みのある味でおいしい。
一緒に作って食べたノビオちゃんは、「今まで食べたこういうタイプの平麺料理をおいしいと思ったことはないけどこれはおいしい、麺がべたべたじゃないところもいい。味が複雑だから飽きないで食べられる」と言っていました。ノビオちゃんいわく、茹で野菜の下味がついていないからちょうどよかったとのこと。私もそう思います、野菜にまで下味をつけているとくどすぎてしまいそうです。

鶏ひき肉は量入れないとすぐ空腹になっちゃうかな?と思って肉多めにしたのですが、もっちりした麺で麺自体に結構ボリュームがあったので、もうちょっと少なくしても(一人100gずつぐらいとか)十分お腹いっぱいになった気がします。

あと、たまにしっかり辛い物を食べると、血流がよくなって体温が上がるような気がしますね。実際にそうなっているかはわからないですが…。

 

カルディのビャンビャン麺のパッケージの成分表のアップの写真

ビャンビャン麺のスープには、やっぱりゴマがたくさん入っているようですね。

 

2023年9月現在、524円なのでスパゲティとかうどんとか買うより割高感がありますが、平麺好きの方にとって満足ポイント高い商品だと思います。店頭には違う味ver.も売ってるときもあるようですが、今回私がオンラインストアで買ったのは麻辣味です。

www.kaldi.co.jp

 

Amazonでも扱ってるけど、送料込みだからか?ちょっと高いです。

 

怒りは、静かに飲み込むなかれ:映画『ソフト/クワイエット』の感想

ソフト/クワイエット [DVD]

 

めっちゃくちゃお久しぶりでございます。けそです。
GW後に東京から北陸地方に引っ越しまして、いろいろありまして現在に至ります。

(同居人のノビオちゃんが運転してくれて車で引っ越したんですが、車内で大カラオケ大会(BGMはYouTube)開いて楽しかったです)

TwitterもXになっちゃうし(でも私はTwitterって呼び続けるよ)、この数か月の間に世の中もいろいろありました…。それらの出来事について思ったことや調べたことなんかも追々記事にできたらいいな…。

さて、引っ越してからもいろんな作品をノビオちゃんと一緒に観ました。

今日シェアするのは、映画『ソフト/クワイエット』についての記事(ネタバレなしの感想&観終えてからノビオちゃんと話し合った内容を会話形式でお届けするネタバレありの感想)です!

 

まずは、あらすじ。

とある郊外の幼稚園に勤める教師エミリーが、「アーリア人団結をめざす娘たち」という白人至上主義のグループを結成する。教会の談話室で行われた第1回の会合に集まったのは、主催者のエミリーを含む6人の女性。多文化主義や多様性が重んじられる現代の風潮に反感を抱き、有色人種や移民を毛嫌いする6人は、日頃の不満や過激な思想を共有して大いに盛り上がる。やがて彼女たちはエミリーの自宅で二次会を行うことにするが、途中立ち寄った食料品店でアジア系の姉妹との激しい口論が勃発。腹の虫が治まらないエミリーらは、悪戯半分で姉妹の家を荒らすことを計画する。しかし、それは取り返しのつかない理不尽でおぞましい犯罪の始まりだった……。

(『ソフト/クワイエット』公式サイトより引用)

 

ここから、ネタバレなしの感想

毎日いろんなことにじりじり削られている白人女性たちがその怒りの矛先をアジア系移民の女性たちに向けて爆発させてしまうという話なのですが、加害者になってしまう白人女性たちの、対等な関係が生活のどこでも築けずぐったりしている状況の描き方も、責任の所在があいまいなまま暴力がエスカレートしていく様子を一切カットせずぶつけてくるところも、かなりつらい映画でした。暴力の本質を描いていると(私は感じた)点で、今まで映画で観た暴力で一番きつかったかもしれない。

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※いきなりちょっと脱線 

「人間が嫌いな人、圧倒的な暴力で人間がめちゃくちゃになるところを観られて逆に癒されるから台湾ホラー映画『哭悲』おすすめだよ~」というようなつぶやきを旧Twitterで読んで、私は人間(とりわけ自分の邪悪さやエゴに向き合う気がない人間)がすごく嫌いだから観たけど、全然はまれなかった。

ふよふよしたSF設定より、現実の人間のちっぽけな(と周りからみられがちな)虚栄心とかプライドとか同調圧力とかおふざけとかから始まってどんどんどんどんでっかくなっちゃって止まらなくなっちゃう暴力のほうがずっとずっと怖いから。

『哭悲』の監督はたぶんあんまりそういう、人間のどうしようもないくそさから始まった莫大な暴力性に直面したことがないんだろうな、いいなあずるいな!と思って、鑑賞後の私はますますイライラした(あるいは、監督は監督の一番怖いと思っているものを映画のテーマにできなかったのかもしれない。そういう逃げがあるくせに「過激」みたいな宣伝文句で売られている作品に出合ってしまうと私はすごくむかつく。嘘じゃん、と思う←すべてのクリエイターに「自分の魂を削って、一番見たくないものを直視して作品をつくれ」と言いたいのではなく(作品と自分自身との間に適切な距離をとれない人、どのようなケアが自分に必要かわかっていない人、がこれをすると周りの人に加害的になっちゃったりクリエイター自身がさらに深く傷ついたりして危険なので…)、現実から目を逸らしてつくった作品なら、その旨明らかにして宣伝しろよ看板に偽りありだろ、と思うということです)。

『ソフト/クワイエット』には、『哭悲』の消化不良を一気にぜーんぶ飲み込んでくれる本物の人間の怖さがあって、めちゃくちゃ怖かったけど「世界にはちゃんと、現実の人間のほうがずっと怖いってことから逃げないで作品をつくろうとしてくれてる人がいるんだ!」と安心できたので『ソフト/クワイエット』を観たほうがずっと癒されました。長すぎる脱線終わり。『ソフト/クワイエット』の話に戻ります

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じっくり長回しのカメラが、観客の顔を押さえつけて「ここから一秒も目を逸らすな」と、その場を目撃させるような効果を生んでいます。

 

監督のベス・デ・アラウージョさんは「母親は中国系アメリカ人で、父親はブラジル出身」という方で、自身も小学生のときに(おそらく)有色人種であることを理由に担任教師から差別される経験があったことについてインタビューで語っています。
しかし同じインタビューの中で「この作品に出ている白人至上主義者を“邪悪な存在”とひとことで片付けてしまうなど、キャラクターをある側面だけで見るのはとても危険なこと」とも語っておられ、それぞれのキャラクターを「ある人にとってはきっと優しく好ましい人物なんだろうなあ…」と観客に思わせる、繊細な演技・セリフ・演出が魅力の作品でもありました。その、「『優しく好ましい』人物であることをどの人の前でも演じ続けること」が本当は無理だってことが、こういう暴力の爆発につながっていたりもするのだけれども。

この映画に出てくる女性たちの世界には「自分の本音を全部飲み込んでにっこりほほえむ」or「言いたいこと言いたい相手がいないところで、こっそり愚痴としてその人に直してほしいこととかその人に対して不満に思ってることを第三者に言う」or「罵詈雑言と身体的暴力で屈服させる」以外のコミュニケーションがほとんどないことが問題だと思う。「互いを尊重しながら、直接本人と話し合う」ってカードがなぜか存在しない。そしてこういう状況は、日本も例外じゃない…っていうかあちこちで見るよね?という…!


Twitterの感想?でも観たけど、一番フェミニズムが届いてほしい人に届いていないということが本当にきつかったです。

アーリア人団結をめざす娘たち」が敵視しているフェミニズム偽装フェミニズムであってフェミニズムじゃないから。

(前にnoteで書いていたとき、偽装フェミニズムまわりについてイベントを通じて学んだ内容についてちょっと触れた↓)

note.com

フェミニズム」や「フェミニスト」という言葉が変なイメージを付加されたまま広がっちゃって(「アスペ」って言葉も、近い現象が起きちゃった言葉ですよね)、フェミニストを名乗る人の中でもその間違ったイメージを信じ込んでる人もいたりして、どこから言葉を取り戻していけばいいんだろうと途方に暮れますが…自分にできる範囲で勉強して、その内容を発信していくしかないんだよな、と日々思っています。


(そして、フェミニズムの補助線を引かないでこの映画を観ると、ただ「白人至上主義者、ほんとひどい!みんなくたばればいいのに!胸糞映画だった!」と思って終わっちゃいそうな気がします。白人「女性」の団体だということは、この作品の核になる部分なので)

ーー

以下は、観た人向け(あるいはネタバレ気にしない人向け)の、ノビオちゃんと感想を語り合うパート

 

ノビオちゃん(以下、ノビ)

主人公のエミリーについて印象的だったことがいろいろあって。

ソフト(柔らかい)でクワイエット(静か)であれ、それが素晴らしい女性なのだ、っていうメッセージを繰り返し繰り返し刷り込まれてきた人なんだなあと感じる描写がいろいろあったよね。

エミリーは、「落ち着いて」とか「深呼吸して」みたいなことを周りの人にたびたび言うんだけど、それは、エミリーがこういうことを何度も言われてきたからなんだと思う。

怒るべきところで怒ることが許されないっていうのは、精神衛生によくない。

 

(ノビオちゃんがみつけた英語版?の本作ポスター。怒りを飲み込み続けた結果、毒ガスみたいに言いたいことがエミリーの体を蝕んでいるイメージに見える)

 

こういうバージョンもあるよ↓

 

けそ:

すべての怒りにアンガーマネジメントを適用するのは危険だよね。

時と場合によるだろうよ、という…。

 

ノビ

アンとリリーのアジア系姉妹に対してエミリーが思いつく精いっぱいの暴力が、「マヨネーズをトリートメントみたいに髪に塗ること」だったのも、もちろん暴力なんだけど、彼女に向けられてきたものを象徴していると思って悲しかった。

 

けそ:

私はあのシーン、エミリー自身が「理想的な白人美女たるもの、いつでもまっすぐサラサラヘアーであれ!」って呪いにかけられているからこそした行為だったのかもなと思って観ていたよ。

 

ノビ

こんな緊迫した状況でも、犬を閉じ込めたままにはしておけないし、出て行く前は家の鍵も閉めるし…って人なんだよね、エミリー…。

あと印象的だったのが、暗闇の中ヘッドライトを点けて一人で歩くエミリー、という描写。女神様っぽい表象だな、と。「アーリア人団結をめざす娘たち」のほかのメンバーに「バービーみたい」とも言われていたけど、そういう女神というか、クイーン・ビーなポジションを周りに期待されてきて、なんとかそれをこなそうとしてきた人なんだよね、エミリーは。

 

けそ:

でも、家父長制を内面化してもいるから、夫みたいな男性とか、もっと「えらい人」から許可を得ないと自分から意見しちゃいけないという矛盾も抱えている。

 

ノビ

平等な関係っていうのがほとんど存在しなくて、誰かが誰かを見下ろす・見下すシーンばっかりこの映画には出てくる。

 

けそ:

構図的にもそうだし、会話もそうだった。キャラクターが自分で「自分はこの人より下だ」と思ったり「劣っている」と思っているんだろうと感じる内容が多かった。

優劣を競う要素は、パートナーの有無や子供の人数であったり、容姿であったり、学歴であったり…。

 

ノビ

そうそう。で、唯一リラックスしている雰囲気で隣に並んで話すのは、冒頭のエミリーと教え子の男の子の会話シーン。それでも、うっすら男の子のほうが自分より「上」だと思っている雰囲気があった。相手はこんなに小さい男の子なのに、「男性」としてカウントしてる。移民とおぼしき掃除係の人物に「生徒たちが帰ってから掃除するように」って伝えたいのに自分では言えなくて、男の子に言わせようとしている。女性から意見してはいけない、ってここでも思っている感じがあった。

 

けそ:

同級生のアンの家を時々こっそり見に行っていたとエミリーは夫に話していたけど、たぶんエミリーから見てアンは、「良妻賢母であれ」という呪いから自由に生きている人のように感じられて、実は羨ましかったからなんだろうな、と思う。

こういう作品を見ると「女の敵は女」と言い出す人がいるけど、こういう価値観を内面化させてる原因は、第一に家父長制的な社会なのよ!!!

 

ノビ

エミリーの夫のクレイグも、ほんとうはそうしたくないのに家父長制社会のメンバーになっちゃっている人だと思った。

エミリーたちのアン宅襲撃を止めようとして失敗するシーン、「(もしこれを止めるなら)これからずっと、男らしくないって思うからね!」みたいなことをエミリーに言われて黙っちゃうの、印象的だった。「男らしくない」って妻に思われることが、クレイグにとってそんなに脅威なの?と思って。

 

この映画に出てくる大人の男たち(クレッグ&神父)が、二人ともキャップをかぶっているのも気になった。

 

けそ:

相手の目を見ないようにしてる?

 

ノビ

たぶんそう。そして二人とも、ことなかれ主義。

神父は「ここで面倒を起こさないでくれ」というようなことを言ってエミリーたちを間接的に追い出したけど、これって「ここじゃなかったらやってもいい」に聞こえるよね。

 

けそ:

クレッグも、アン宅襲撃をやめろって最初はエミリーに言ってたのに、謝りながら結局襲撃を手助けしちゃってるし。

 

ノビ

誰もほんとうにこれをしたいわけじゃなさそうなのに、なんならみんなやめたいと思っているのに、それでも事態が進行していくのが不気味だった。

 

あと気になったのが、「なんで前半、エミリーがパイを手に持って運んでいくシーンがやたら長いのか?何か保冷バッグとかに入れるでもなく、目的地までは結構遠いのになんでわざわざ手で持っていくのか?」ってこと。どんどん森の中に入っていく赤ずきんちゃんみたいなシーンだった。どう思う?

 

けそ:

あのパイは、自分が有色人種じゃなくて「白人」なんだっていう誇りの象徴だと思って私は観ていたよ。これを落としたら何もなくなっちゃうような気がするから、一生懸命大事に守って、高く掲げながら持っているんだろうと。

 

本当は、別に何もすごくなくても、何も成し遂げてなくても人は存在していいはず、それが人権があるってことじゃんね。(←映画『バービー』まだ観てないですが、このあたりの話も出ているらしいですな。期待!)

でも、今の社会では全然そう思えない。社会や周りの人は、いろんなプレッシャーをかけてくる。映画に出てくる女性たちは、「まっとうな女」としてはこれを持ってなきゃいけない、これをしなきゃいけないって圧力を(自分では言語化できなくても)感じながら生きている。でも、何か達成したら、次にまたしなきゃいけないものが見えてくる。自分よりも持ってる人、「優れている人」を目指さなきゃいけないと思えちゃって終わりがない。自分を「女として合格」と思えてる人は、たぶんアン宅襲撃メンバーの中には一人もいないと思う。

でも、「白人である」ってことはさらなる高みを目指さなくても失わないものだから。彼女たちにとって、それだけで自分は「優れている」と、自分は「合格」だと思える宝物だから、それをよすがにしているんだと思う。


どんな人も、ただ生きてるだけでえらいし大丈夫、って思える社会にならないと、こういう加害はなくならないと思うんだよね…。

 

(このシーンは、映画のパンフレットの表紙イメージにも使われている。本編よりもさらに「迷い込んでる」感ましましのデザイン)↓

 

 

(このパイ↓についても、「中身が血や臓物みたいに見えるように演出してるよね~」とノビオ氏は言っておりました。全然おいしそうじゃなくって悲しいんだよなあ…)

 

ジャムーティーのおすすめ取り消しについて

元記事には追記をしたのですが、こちらでも。

2023年3月に書いた記事で、花粉症に「ジャムーティー」というお茶が効くかも!おすすめ!という情報を書いたのですが、こちらの商品に健康被害が出る可能性があるステロイドが混入していたという報道が出たので、リンクを消し、情報を訂正しました。

queso-samba.hatenablog.com

すでにこの記事の内容を通じて商品を購入された方がおられましたら、大変申し訳ありません。

 

販売元から新しく発表があり、今後商品の回収と返金を行うことについても報じられていましたので、こちらも貼っておきます。

news.yahoo.co.jp

 

手の込んだ料理だけが幸せじゃあない:マンガ『今夜すきやきじゃないけど』

今日ご紹介するのはドラマ化された漫画『今夜すきやきだよ』のシリーズとなる作品『今夜すきやきじゃないけど』。

この作品があって「今夜」シリーズは完成するな〜と思った。『すきやきだよ』ドラマ版はもうすぐ最終回だけど、本当にすっごく理想的な映像化だったと思って毎週愛しい気持ちで観ている。原作とは違うオリジナルの部分も、原作の魂をちゃんと理解して受け継いでいる。

www.tv-tokyo.co.jp

(権利関係で難しいのかもしれないけど、邦ドラももっとアマプラやネトフリで配信してもらえたらいいのにな~。あいこちゃんの服の着こなしがいつも難しそうでかっこよくて、それを観るのも楽しい…)

 

以下はマンガ『すきやきじゃないけど』のあらすじ。

広告代理店に勤める姉・たつきと、自分探し真っ最中の大学生の弟・とらお。汚部屋の中で始まった血が繋がらない2人の同居生活は、毎日もやもやストレスばかり。自分の幸せってなんだろう?

くらげバンチ作品紹介ページより引用)


『すきやきだよ』は料理に関するエピソードが多いけど、『すきやきじゃないけど』は掃除や片付けに関するエピソードが中心だ。元汚部屋住民の私(今も片付けは全然得意じゃない)としてはとても他人事とは思えない内容が綴られていて、深く刺さった。「片付けられない」ことが、過去を整理することを延期し続けていることの場合もあるよね…と思う(そうじゃなくて、片付いていない状況こそが落ち着く人もいるから、ひとまとめには語れないけど)。


『今夜すきやきだよ』はいい作品なんだけど「手料理=温かい」描写になりかねない部分がちょっとあり、それを作者の谷口菜津子さんも感じていたのだと思う。手料理じゃなくても(精神的に)温かいご飯って、いろいろあるじゃんね?それを今作はちゃんと描いていて、よかった。「すきやき」というアイテムの使い方が前作と今作で全然違って、そこも面白かったな。

(ちなみに、「みんなで楽しむこととみんなで食べることがセットになってる」雰囲気につらさを感じる人に届けたい物語として『作りたい女と食べたい女』という作品も挙げておきたい…私はWebで更新されたときに追っててコミックスは追えてないんだけど、たぶん3巻で出てくる人物がそういうつらさを抱えているキャラクターなのです)

 

『すきやきじゃないけど』の話に戻って。

あと、前作はちょっと「仕事が好きになれない人」が読むとつらいかもしれない…という内容だったので、そこが開かれた内容になっていたのもよかった。仕事が好きな人はそれはそれでいいことだと思うけど、仕事を生活の手段だと割り切って生きる人の気持ちだって、大事にされたいよね~。

大人の女性たちの描写が(職業や見た目など)バラエティ豊かなのもいい。

谷口さんはそれぞれのキャラクターのコンプレックスを丁寧に描く作家さんだな~と『すきやきだよ』で思ったけど、今作もそのよさがすごく発揮されてる。「すごい家族」が身近にいて、その人を追ってがんばってきた、でもそのことに疲れている…という人に(も)ぜひ読んでほしい作品になっているよ。

 

コンテンツ月記(令和五年弥生)

ジーンズをはいた青い一つ目のモンスターのイラスト

ミッドジャーニーちゃん作のジーンズモンスター。
ミドジャちゃんはすぐに周りに謎の石ころを配置したがる

確定申告を終えて放心状態でいましたら、もう3月も半ばですわい。久々のブログ更新です。なので長い(いつも長いよ)。

新型コロナ(この名称すら変えるらしいですね…あくまでもう終わった過去のものにしたいみたい)への政府の対応がやばすぎるので(まあ対応やばいのは全世界的なトレンドだけども…)、初夏くらいに私は恋人と一緒に東京を出て北陸へしばし移住することを決めました。新しい場所に行くのは不安…でも楽しみです。

 

(前から何度か紹介していますが、新型コロナの状況についてはこちら↓のブログを追っておくとよいように思いますぞ)

fukushimadiaryoffi.wixsite.com

 

あと(?)、今一番気になっているアイテムは「ジャムーティー」です。

※↓(4/12追記:健康に害がでる恐れがあるとの報道が出たので、おすすめを停止します!それに伴いリンクも一旦消しておきます。)

 

楽天の商品の貼り方を忘れたので、Amazonのを貼っときますが、この「香塾」ってところのが本家だそうです。いくつか種類があるのですが、私は「ブラック」を買いました、楽天で)

 

【2023.4.12追記】

家族より、ジャムーティーからステロイドが検出されたらしいから気を付けた方がいいよ!と情報を得ました。

 

www.asahi.com

 

おすすめした後で恐縮ですが、原因が解明されるまでおすすめは取り消します!

…というかちゃんと説明してくれないのは怪しいですよね。。。


【2023.4.16追記】

販売元より、商品回収・返金についての発表がありました。引き続き、原因解明の過程を追っていくつもりです。

news.yahoo.co.jp

 

===
…ということで冒頭から話題があっちゃこっちゃ飛んでますが、久々のコンテンツ月記ではもうすぐ発表の今年度アカデミー賞関係(なんらかのノミネート関連してる作品。作品そのものというより同じ監督の過去作とかが多いが…)の映画について書こうかなと思います。


※ほんとうはApple TV+のみで配信されているお仕事ディストピアドラマ『セヴェランス』がめちゃくちゃ面白かったよの話も書きたかったんだけど、今回はおさまらず(面白いドラマを探している方はぜひ観てみてください!ストーリーもキャラも音楽も衣装も美術も最高で、お金払う価値があります!観終わってしばらく経った今も、しょっちゅうこのドラマについて考えています。Apple TV+のドラマ何本か観たけど、レベル高いのが多いです)。

 

youtu.be

 

ということで、ここからようやっと本編。

 

読んだもの、観たものを、書きなぐりのメモで記録します。完読できてないものも、書きたいことがあったらメモします。すでに長めのレビューを書いてるものや書く予定のものは、基本的に除いてます(…と言いながら、ここで書いてる感想も割と長いんだけど)。

==評価基準(特に記載したいときだけ)==
\(^o^)/ 乾杯。愛。最高の毒なり薬。
φ(..) 特別賞(今後思い出すだろうシーン有等)
==ココカラ==

 

 

映画

スイス・アーミー・マン φ(..)

今回のアカデミー賞作品賞にノミネートしている『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が配信に来るのを楽しみにしているので(私は私がOKと思える空気清浄機を入れてくれていることが確認できるまで映画館には行かないことにしている)、同じ監督(というか正確には監督「たち」。ダニエル・クワンさんとダニエル・シャイナートさんの二人組(通称ダニエルズ)が監督している)の過去作『スイス・アーミー・マン』を観た。

 

youtu.be

(中年女性が主人公でかっこよく活躍するって聞くだけでもう嬉しいよね~アカデミー作品賞獲ってほしいな!)

以下、スイス・アーミー・マンのあらすじ。

無人島で助けを求める孤独な青年ハンク(ポール・ダノ)。いくら待てども助けが来ず、絶望の淵で自ら命を絶とうとしたまさにその時、波打ち際に男の死体(ダニエル・ラドクリフ)が流れ着く。ハンクは、その死体からガスが出ており、浮力を持っていることに気付く。まさかと思ったが、その力は次第に強まり、死体が勢いよく沖へと動きだす。ハンクは意を決し、その死体にまたがるとジェットスキーのように発進!様々な便利機能を持つ死体の名前はメニー。苦境の中、死んだような人生を送ってきたハンクに対し、メニーは自分の記憶を失くし、生きる喜びを知らない。「生きること」に欠けた者同士、力を合わせることを約束する。果たして2人は無事に、大切な人がいる故郷に帰ることができるのか──!?

公式サイトより引用)


「死体からガス」っていうのはたぶん腐敗ガスだと思うんだけど、見た目がおなら風に演出されている。ラドクリフ君が、おしりからガスを出しながら海を爆速で進む様子がまずめちゃくちゃシュールで笑っちゃう。

変な映画にばかり出演しているというラドクリフ氏が死体役だし、まあこれもB級映画なんだろう、シュールなコメディなんだろうなー…って感じで笑いながら観始めたんだけど、観ているうちに実は切実な「男性が自分の心の声に向き合うモノ」だということがわかってきてびっくりした。『スイス・アーミー・マン』って多機能ナイフの「スイス・アーミー・ナイフ」から来てるタイトルで、日本語だったら『十徳男』って感じのタイトルになると思うんだけど。要するに「多機能男」的なタイトルなわけです。

公式Webサイトにもメニーの「機能」が掲載されてて(おならジェット噴射で海を進める!歯はひげを剃るためのカッターになる!…みたいなことが10個)、ハンクはメニーの「役に立つ」ところを買ってる、だから一緒にいる(と本人も信じてる)んだけど…、人に役に立つことを求めちゃうのは、自分が役に立つように何度も言われて育ってきたからだったりして、それは必ずしも自分の内側からの声じゃないんだよね。ハンクはメニーと一緒にいることがただ楽しかったから、メニーが好きだからそうしてるだけかもしれないのに。でもお父さんの求めるものをすっかり内面化しているハンクは、そういう自分の気持ちになかなか気づけない。

この記事↓で紹介されているのだけど、ダニエルズ監督がかつて手掛けたマンチェスター・オーケストラの曲「Simple Math」のMVも本作とテーマはすごく似てて。ダニエルズは、自分の心のやらかい場所を開陳しあえないぎこちない父と息子の関係に興味がある人たちなのかな?と思う。

cinemore.jp

 

作中、ハンクとメニーが故郷に帰りたいと思うのは「ある女の人に会いたいから」だってとことか、メニーの性的興奮をある「機能」として利用する感じとかがホモソっぽくて嫌だったけど、ダニエルズ監督は「ポリコレ映画とかくそ」と思ってる人とか、こういう描写を「わかる」「うける」って思う人にこそ、この作品を観て(「男の子は/男の人は」こういうもんだっていう思い込みから脱して)「自分自身の」内なる思いについて考えてほしくて、こういう建付けにしたのかもしれないな。内なる思いかそうじゃないかって、はっきり切り分けることはたぶん、できないにしても…自分が「こう考えちゃいけない」って封印している思いがあるんじゃないか?って疑ってみて、自分の心を点検することにはきっと意味があるよね。

youtu.be

さすがダニエルズ監督はMV畑出身、音楽の使い方も素敵なのでぜひそこにも注目してみてください。

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同じく作品賞にノミネートしている作品、『逆転のトライアングル』も、Twitterでは賛否両論あるようだけど(ざまあみろ金持ちモノとしてのギャグがベタすぎて引いたという人の意見も結構みる)観てみたいと思ってる作品。

 

youtu.be

 

 

 

そんな(?)オストルンド監督の過去作(パルムドール受賞作)2本を観た…んだけど、長くなっちゃうのでそのうち1本について感想を書く。

フレンチアルプスで起きたこと

そういえばこの作品は、前にジェーン・スーさんが勧めていたなあ…と思って観ることにした。
まずはあらすじ。

フランスの高級リゾートにスキー・バカンスにやってきたスウェーデン人一家。
スマートなビジネスマンのトマス、美しい妻エバ、愛らしい娘のヴェラと息子のハリー。普段仕事に忙しいトマスは、たまに取った休暇で高級リゾートを奮発し、ここぞとばかり家族サービスに精を出す。

バカンス2日目。たっぷりとスキーを楽しみ、陽が輝く絶景のテラスレストランで昼食をとっている最中、いきなり爆発音が鳴り響き、彼らの目の前の斜面で雪崩が発生する。それはスキー場の安全確保のため、人工的に起こした雪崩であった。トマスや他のスキー客たちは、ダイナミックな光景に面白がってカメラを向けるが、エバは何かがおかしいことに気づく。果たして、雪崩は予想外に勢いを増し、テラスめがけて向かってきた。

真っ白な雪の煙がだんだんと晴れていく。幸い大事には至らず、人々は再び笑いと活気を取り戻すが、雪崩の瞬間、トマスが見せた“期待はずれの行動”は、エバと子供たちを大いにガッカリさせ、家族の間の空気がぎくしゃくし始める。エバは雪崩が起きた時のトマスの行動を問いただすが、トマスはエバと異なる主張を繰り広げ、次第に夫婦仲にも暗雲が立ちこめてくる。今までの結婚生活に疑問を抱きはじめるエバ、反抗的な態度をみせる子供たち。そして「理想のパパ」の座を取り戻そうと必死にあがくトマス。

バカンスは5日間。残された時間の中で、バラバラになった家族の心は、再びひとつに戻る事ができるのか─?


「いかにも暴力的ではないけど、やんわり女性パートナーに対して加害的な男性パートナーもの(※)」が世の中にもっとないといけない!!!と常々私は思ってるんだけど、この作品はまさにそういう話なので面白く観た。

(※)たとえば、にこにこして優しい人(のように見える)けど、女性パートナーと「話し合う」とき自分の意見は絶対曲げない人とか、絶対謝らない人とか、ジョークだよって言いながら女性パートナーをディスったりする人とか、「君を大事にしたい」といいながら結婚後は女性が苗字変えるのや仕事をやめるのや多めに家事をすることなどが当たり前だと思って話を進めてくる人とか、そういう男性パートナーの話。

 

“期待はずれの行動”についてはしょうがないとしよう。問題は、トマスはとにかくこのことについて「妻に対して謝れない」男だってことなんですよ…!謝らないためだったら事実も曲げるし演技もする!すごい既視感のある会話が繰り広げられ続けて、観ていてずっとイライラした笑。


女性と男性のパートナー間で意見交換したりする材料として面白い映画だとは思う。思うんだけど、ただうーん…と気になったのは、ちょっとオストルンド監督ってこういう状況に対して客観的すぎる人なんだよな…ってこと。こういう状況で「客観的」って、つまり加害側の肩を持っちゃってるんだよな…。会話劇として面白かったけど、「ね、夫婦とか恋人間でこういうこと、あるよね~へへへ」って感じで終わるのはむかつくぜ。3年後くらいのエバの後日譚をつくってほしい。子供たちを連れて家を出て、楽しくはっちゃけて日々を送るような話を(今作についてはうーん…だったけど、最近はそういう方向性の解放された女性の話も増えてるから嬉しい!この作品ではちょっとそこまで表現するのは難しかったかもね)。

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(インタビューなどを読むに、もともとオストルンド監督はスキーが好きな人でスキー映画を撮るために映画の勉強を始めたそう。それも納得の、雪山の美しさ。内容はビターだけど雪山はかっこよくて、それを観るだけでも楽しかった)


一緒に映画を観た恋人は、もう一本(今回紹介しなかったほう)の『ザ・スクエア』のほうがよかったかもと言っていたんだけど(この話も、自分の弱さを認めることが苦手な男性が最後にはそういう部分にも少しだけ向き合う話になっている)、私はこのテーマでやるならもう少し踏み込んでほしいなーと思って観た。設定とかは面白かったけど。

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ギレルモ・デル・トロピノッキオ \(^o^)/ 

Netflix限定配信の作品。
ピノキオ今観て新しい感動あるかねー、ストップモーションアニメは大好きなんだけどねー…とちょっと疑いながら観始めたんだけど、すごく感動した。今描くべきテーマやメッセージにちゃんと光を当てていたからだと思う。


最近あった気付きとして、「男性もまた有標な存在である」というものがあって。

どういうことかっていうと、物語(だったり、絵だったり)で「抽象的なキャラクター」を描きたいと造り手が思ったときに選ばれるのはだいたい「男性」のキャラクターだよね。そしてその物語はまるで、男性の男性性(社会が良くも悪くも「男性」に期待すること等)をまるで無視してつくられていたりするよね。でも、社会を男性として生きる人はその「男性性」から自分を切り離して生きることはほんとは無理なはずだよね。ということ。
今、男性キャラクターばっかりが出てくる作品をつくるなら、この「男性もまた有標である」ことを絶対に意識しなきゃいけないだろ、と私は思っていて。それがちゃんと意識されている作品だったから、私はこの映画が好きだった。


特にこの作品で大事に描かれているのは、父と息子の関係。何組か父と息子(完全に親子じゃなくても、それを想起させる2人組も含む)が出てくるんだけど、多くの関係は息子に「こうであってほしい」っていうのを押し付けている。父親たちが押し付けてくるメッセージは、たとえば「漢たるものたくましくあれ、戦争を恐れるな」だったり、「自分(父親)に役に立つように動け」だったり、「死んでしまった前の子供のようにいい子であれ」だったりするんだけど、ほとんどの息子たちはなんとかそのメッセージに応えようと頑張っている。でもピノッキオは自由な子で、嫌なことやできないことについてはちゃんと、嫌だとかできないとかって言う。そのピノッキオの在り方に影響された息子たちが、ちょっとずつ変わっていく。そこがすごくよくて、泣いた。

親は、子供を使って「自分の夢」を叶えようとしちゃいけないと思うから、そうなっちゃってた自分に気づけた父親のキャラクターが(も)いたことが希望だったな。

 

(大いに脱線するけど、私が好きだと思うお父さんと息子の関係の在り方は、シソンヌの↓のコントみたいなやつ。世間の声は、当人たちの幸せには関係ない。友達みたいな母と娘はけっこういるけど(私も母とまあまあ友達だった)、父親と息子で友達みたいになれる人はそれよりも少ない気がする、息子→父親の片想いケースが多い気がする…)

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日常の中の些細な幸福の美しさや、過ぎていく時間の儚さ(しかし、儚いってことは無意味とイコールでは決してない、って感じ)等も存分に描かれているので、たぶん映画『ソウルフル・ワールド』が好きな人は、この作品も好きじゃないかな。

メイキングで、ギレルモ・デル・トロは「生きている人間はミスをするものだから、人形たちの動きにも『ミス』を入れるようにした」という話をしていたんだけど、そういう細かい工夫がいっぱいあって観ていてすごく楽しい画面になっている。いかにもデル・トロだな~という不気味さとかわいさの両方あるキャラデザも魅力的。

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ケイト・ブランシェット様(かっこよくて好き)がスパッツァトゥーラ(猿のキャラクター)役の声優をされているのでびっくりしたんだけど、この役がまたよくてね…すごく好きだった。ブランシェット様が出てるTAR(こちらもアカデミー賞作品賞にノミネートしてる)も観たいなー)

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西部戦線異状なし

こちらもNetflix限定配信の映画。

第一次世界大戦中の欧州。祖国のために戦おうと意気揚々と西部戦線へ赴いた17歳のパウル。だがその高揚感と志は、最前線の凄惨な現実を前に打ち砕かれることに。

若い兵士たちが戦場に行くことを決めるところから、ドイツ側とフランス側の停戦までが描かれる。

これを観て胸に刻んだことは二つ。

 

第一に、戦争は下っ端の兵士(というか一般市民たち)をけっして英雄にはしないんだよ、駒にするんだよ、って、みんなが知っとかないといけないね、ってこと。

映画の冒頭、兵に志願するかどうかを話し合ってる青年たちはまだ戦争が何かを全然わかっていない。おいおい、ママに言われたからって戦場にいかないのかよーって友達をけしかけたり、戦場に行って帰ってきたらモテちゃうかな?みたいな軽口を叩いている。でもそんな、個人の活躍をたたえる余裕は戦争下にはない。兵士たちは匿名の駒でしかない。

どことなくうきうき戦争の話をする青年たちのシーンのもっと前、映画の一番最初のシーンでもこうした戦争の構造が象徴的に描かれる。後に青年たちが自分のために支給された!かっこいい!みたいに思って嬉しそうに抱えていくことになる軍服の出所が、丁寧に映し出される。これらの軍服は、実は先に戦地に送られた兵士のおさがり。血も砂埃もきれいに洗濯され、ほころびが繕われ、もともとの持ち主の名前が書かれていたラベルも外されてうきうきの彼らに渡されている。まあまあ若くて動ける男だったら誰でもいい、顔も性格も名前もこれまでの人生で何をしてきて何を大事にしてきたかもまったく関係ない、死ぬまで使われて死んだら捨て置かれる、それが戦争なんだということが一番最初のシーンで、もう示される。

「何者かになりたい」「大きなものの役に立ちたい、大きなものに影響を与えたい」という欲求は、SNSが広まってから前よりもっと肥大してると思うから、今の日本はこのころのドイツよりもずっと大衆を戦争にけしかけやすい状況にあるんじゃないかと不安に思った。ていうか、すでにだいぶけしかけられつつあるよね。アメリカのZ世代だと、そういう「何者かになりたい」欲求を持ってる人はそんなに多くなさそう(自分の幸せは周りじゃなくて自分が決めると思ってる人が多そう)だけど、日本の若い世代はどうだろうな?善でも悪でもいいから「目立ちたい」と思ってる人は、まだ結構多いような気がする。自分の人生が虚しいものじゃないと確信することは難しいから、つけこまれやすくて、怖い。

 

第二に、上のほうにいる人間のくそくだらないプライドで人間は死んでいるね、今も昔も、ってこと。
映画の後半、ドイツがいよいよ戦いに疲弊して停戦交渉をフランスとして、1918年11月11日の11時以降は両者一切攻撃をしないことにしよう、って決める。
でもね…この停戦の発表から件の時間までまだしばらく(たしか15分くらい)あるからって、ドイツ側の軍トップは「今ならフランス側も油断している。有終の美を飾ろう」的なことを言って、疲れ切っている兵士を追い立てて相手を奇襲するように命令するの(!!)。もう戦いは嫌だって言って離脱する兵士は見せしめのために銃殺され、みんな限界を迎えている心身でなんとか最後の攻撃に行く。たった15分で、ここまで生き延びた人がまたたくさん死んだ。

戦争じゃなくても、上のプライドを守るために人の心身の健康が犠牲になってることって今でもいっぱいあるよね(例えば会社で、上司や職場の面子を潰さないために必死で働かなきゃいけない場面で断りきれなかったりとか)。それぞれが「上」とか「えらい人」とか「恩人」とかのためじゃなく自分を大事にしながら生きていくことは、意外と草の根反戦運動になるんじゃないかな、と思った。

 

一方、この映画の好きじゃなかったところは、女性たちの描かれ方ですな。
あまりにもアイコン的・ご褒美的に女性たちが使われていて嫌でしたわ…。

(↑こういうのを読んだアンチフェミニストは「女は戦場に行かないからそんなぬるいことが言える」的に反論してきそうだけど、「男女どちらも戦争に行く(←そもそもこういう書き方が性別二元論的で嫌だけど。世界には女と男しかいないんじゃないんだから)」ことで平等を目指すんじゃなくてさ、「どうすれば、行きたくない戦場に誰も行かなくて済むようにできるか」を考えようぜと思うわよ…)

ストーリーの他の部分は現代の視点から改変しているところもあるらしいから、ちゃんと人格を持った女性キャラを入れてほしかったな。あと、きっと戦場に送られた男性の中にはゲイやバイの人もいたと思うのに(少し後の時代の話にはなるけどナチスが同性愛者を迫害していたこともわかっている)、出てくるキャラみんなが女性のみを性愛の対象としてるっぽく描かれているのも、あえて今この作品をつくり直すなら足りなくないか?と思う。

youtu.be

昔の作品のリメイクとしては変わった音楽の使い方な気がして(現代音楽っぽいのを入れてるシーンが前半結構多い)、それも面白かったな。音楽の使い方は作品全体のテイストにかなり影響するから、注目しちゃう。

アジアンドキュメンタリーズはよいぞ!(観た作品の感想メモ・その弐)

AI画像生成サービス(?)のMidjourneyちゃん作の寿司の絵。食べられそうな感じはゼロ

こんばんは、けそです。最近はMidjourneyちゃんの研究をがんばっています。(Midjourneyちゃんがつくってくれたやばい絵をいっぱい貼って、それぞれにつっこみを入れる記事もほんとうは書きたい)

久しぶりに下のきょうだいたちに会ったら「それは差別だぜ…」と思うことが会話にいっぱい出てきてぐったりしたり(しかしうまくそれを伝える技術がない私の不甲斐なさよ…)、確定申告いやだーとか思ってたら、今月も終わりそうで驚いちゃう。

今日は前回(↓)に引き続き、質の高いドキュメンタリーを取り扱っている動画配信サービス・アジアンドキュメンタリーズで観た作品の感想を書いていきますー!もう配信終わってる作品があったらごめんなさい!

queso-samba.hatenablog.com

(1月の観たもの読んだメモも書きたいんだけど、なかなか手がまわらず…(映画のおすすめがいろいろあるのに!)。今期のドラマでは『今夜すきやきだよ』と『ブラッシュアップライフ』がおすすめ!マンガは『宝石の国』を最新話まで読み終えて作品のメッセージの射程の遠さにため息をついていたよ!)

 

今月のお品書き

 

禁断の向こうへ イラン人の秘密

イスラム国家の中のイランの独自性(ペルシア文化の独自性)について、部分的に知ることができた。イランのスキー場という、他の動画配信サービスじゃ観られないような場所の雰囲気が知れたのも面白かった。

観光客が「綺麗」だと思う国は、統制が厳しいからこそ綺麗だったりする…ということを思い出す作品でもあった。『紛争でしたら八田まで』のシンガポール編を思い出したり。


不平等な社会を壊すために起こったイラン革命だったのに、結局またそれを先導した人が権威になって、それを称えるために庶民からお金を巻き上げて…と、同じ構造が繰り返される結果になったのがきつかった。それぞれの人が、自分の信じるものとか価値観に一番合った国に気軽に住めるようになったらいいのにな。まあその中でもまたいろんな対立が起こることはたぶん避けられないんだけど…(「対立しない国」ってのはだいたい「対立が許されない国」なのでそれも怖い)。
自由を奪うこと含む、身体への「暴力」が国家を国家たらしめてるので(※)、身体なくして人間が生きられない現状で、どこまで国家の力を弱められるかは疑問だけど。メタバースが拡大したらどうなるだろうか。


(※)国家は暴力を使うこと(人を捉えたり拘束したり含む)が許されてるから、法を守らない人を取り締まることができる。だから国として機能している、ということが書いてある本(と言いながら読み途中)↓

(もうずっと何年も日本の状況は悪化する一方だけど(一部の人だけが得する方向にどんどん進んでいるという意味で。戦争も始めそうだし…)、2023年は1月からさらに想像の斜め上をいくひどさで、この本を読んでいるとああ日本を出てわたしはこの島に移住したいよと夢見てしまう…)

 

(上記の本の内容から脱線しちゃうけど、今の日本のひどさについて考えるために参考になるものも二つ貼っておく)

youtu.be

↑『戦争のつくりかた』という絵本に書いてある内容をアニメにしたもの。

日本がもう、かなり戦争に近いところまで進んじゃっていることがこれを観るとわかると思う…どうしたらいいんだ…。

 

www.bbc.com

イングランド出身で10年程日本の特派員だったBBCの記者が、日本の過去と現在の状況について書いている記事。微妙にアジア蔑視を感じるような部分もあったけど…、読んでよかった。最近私は、もう日本は一回壊れるしかないのかもしれないという気持ちになっている(というか思おうが思わなかろうが、いつかそうなるんじゃないか…/最近は毎日いろんなことに絶望している(逆にこれまでが楽観的過ぎたのかもしれない))。

 

国家と暴力の話に戻って(まあここまでも、部分的には国家と暴力の話ではあったけど…)。
こちらもずっと読み途中になっちゃってるけど、↓の本にも国家と暴力の関係が書いてあったと思う。

 

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結婚しない、できない私

大学生の頃、同じゼミにいた中国からの留学生の女性が卒業と同時くらいに結婚するって聞いてえらくびっくりしたんだけど、このドキュメンタリーを観てその背景がよくわかった。日本以上に、中国の親からの「結婚しろ」圧はすごいことが多いのだな。親が勝手に(子供の意志を確認せずに)本人のスペック(見た目とか、出身地とか、職業とか)を示して街角で婚活してたりするそう。きつい。

人の家の子供の結婚やら出産やらに口出ししてくる、密接な地域コミュニティの自他境界のなさもつらかった(だから私はその地域において匿名性が高いままで暮らしていける人生でありたいよ、の気持ち…)。「あなたが結婚していなくて、近所で恥ずかしい思いをしてる」とかそういう話が家族から出るってわかってるのに、自分の進学のために親ががんばってお金出してくれたから恩を感じてこまめに里帰りしている弁護士さんが出てくるんだけど、彼女のエピソードが全部全部つらくって「大丈夫だよ、なにも気にしなくていいよ。結婚してないことなんかにあなたの価値を決められてたまるかよ!!」って隣に行って言いたかった。友達と一緒にリラックスしている彼女はあんなにのびのび楽しそうなのに。それで彼女は満ち足りてるのに、何も足りなくないのに。はあああ…。(そういえばこのドキュメンタリーは、子供を自分の延長線上にあるものだと思ってる親との関係についていっぱい描いているドキュメンタリーでもあった。子供の人生は、子供のもの!!子供は親の世間体のために生きてるわけじゃないんだよ!)今彼女が、ちゃんとリラックスして自分を大事にして生きてますように。

女性(勝手に周りに女性扱いされちゃうノンバイナリーだったりも)が結婚しない・子供を持たないということが、他の選択肢とまったく同じようにフラットに選べるのが、成熟した社会だと思う。つまり、世界でそれを達成している「成熟した社会」は、まだどこにもない。

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スタジアムの奴隷たち

去年のサッカーW杯は、過酷な労働の上にできてる施設が使われてるとネットの記事で読んでいたから一切観なかった(たしかドイツなどでも同じように視聴をやめた人が多かったみたい。世界には搾取がはびこりすぎてて、搾取の上にできてるものをすべて避けることは(残念ながら…)できないと感じるけど、なるべくできるとこから避けたい、その構造が続くことに「なんとなく」加担したくない)。過酷な労働とはどのようなものだったのか、このドキュメンタリーを観るとよくわかる。

スポーツに政治を持ち込むなという人がいるけど、実際にはスポーツ(特に国を代表して戦うようなイベント、つまり大きなお金が動くイベント)は政治と切り離せない。サッカー自体は(詳しくないけども)面白いし、こういう状況が問題だと思ってるプロ選手やサポーターだっていると思うからなんとか切り離せないだろうか、バランス取れないのだろうか、と思うのだけど…悔しい。

食事のための休憩の時間すら保証されず、(カタール以外の国から仕事を求めてやってきた労働者が多い中)故郷を出る際に提示された契約条件は現地入りしてからあっさり変えられてしまう。カタールは暑い国だから、重労働×長時間労働が文字通り人を殺す。ジャーナリストにこうした状況を話した裏切り者は、帰りの飛行機代ももらえない中職を失う。

このドキュメンタリー自体は、すごく意義のあるものだった。

でもこの記事↓で書かれてる通り、「人権意識」があるはずのヨーロッパ(=カタールを人権意識の欠如で非難してる国)で、いまだにヨーロッパ以外からの移民だったりムスリムたちだったりが差別されてることも忘れちゃいけないと思う。

toyokeizai.net

 

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ノクターン -兄弟の絆-

 

「きょうだいは助け合わなくちゃ!」ということを絶対に正しいこととして教えようとしてくる親がまじで苦手なので(きょうだいをつくることを決めるのは親だから、せめてきょうだいとどれくらいかかわるかは子供に選択権をくれよと思う、きょうだいが仲良しでいることを前提にしないでくれと思う)、このドキュメンタリーのお母さんは心底無理だった。邦題も、勝手に絆を強要してきて(そして感動方向に持って行きたい意図を感じて)ひどいと思う。
が、特にこのドキュメンタリーみたいに、きょうだいが障害を持っている場合(特に知的障害・発達障害精神障害)にその人を血縁者以外&仕事として以外で助けてくれる人が少なかったりいなかったりするという社会の背景があるので、お母さんだけを責めてもどうしようもないんだよな…。私は今、知的障害をもつ人たちの暮らすグループホームでアルバイトをしているんだけど、その(障害をもった)人のことが好きだということや気が合うということや大事だということと、その人を支える役割・ケアする役割をずっと担えることは全然別だと感じる。

 

弟のコンギさんが自分の心を壊さない範囲でお兄さんとかかわることが、選べるようになりますように。私はコンギさんが弾くピアノがすごく好きだった。