螘サンバカーニバル

けそのブログだよ

コンテンツ月記(2026年、9月)

カーンターラ 神の降臨

(画像は映画『カーンターラ 神の降臨』の画像。画像を押すとAmazonの動画販売ページに飛びます(アフィリエイト))


ポッドキャストで詳しく紹介していない映画・漫画・本の話などをするコーナーになりつつある、コンテンツ月記。すでに10月も後半になっちゃってますが、9月分です。今回は、3作品を紹介します。

 

(アフィリエイト有。Amazon&楽天にはいろいろ問題も感じているけど、他の方法で自分が望む収入を得られるようになるまでは利用させてもらうよ!ということで、いろんな事情でAmazon・楽天を使用されている方はご活用ください。私はAmazonの問題の方が大きいと感じているため、楽天を優先的に貼ろうと思います…)

 

【書籍】ビビを見た!

<概要>

盲目のホタルに「7時間だけ見えるようにしてやろう」と言う声が聞こえる。初めて見る世界に喜ぶホタルだが、気づくと他の人はなぜか盲目になっていた。そんな中、美しい緑色の少女ビビを見つけるが…。

(復刊ドットコムより引用)

そもそも社会が視覚障害がない人向けにつくられていることが問題として大きいから…視覚障害を持つ人がそうではなくなることに喜ぶ、ってストーリーは嫌だな…女の子のキャラの価値が美しさと強く紐づけられている感じも嫌だな…というふうに思いつつ、この作品で描こうとしていることの意図や意義について納得はできたため、紹介。初版はおそらく1974年。

 

ほとんど黒・緑・赤(あと地の白)のみを使った版画で進行する、小学校高学年~向きくらいかな?という絵本で、ダークな雰囲気が中心にあるのに、希望の筋が通っている話。この物語における「見る」という行為はたとえなのかもしれない。ある一瞬の美しさに集中すること、美しい一瞬は過去のものになってもなくならないことを描いているのかな…。

 

大胆な人間のデフォルメの仕方や、数字のデザインへの取り入れ方とかもかっこいい。

【映画】ソウルに帰る

<概要>

韓国で生まれフランスで養子縁組されて育った25歳のフレディは、ふとしたきっかけで、母国である韓国に初めて戻ってくる。しかし、自由奔放なフレディは、韓国の言葉や文化になじめず、誰とも深い関係を築けない。そんな中、フランス語が堪能で親切な韓国人テナの手助けにより、フレディは自分の実の両親について調べ始める。

(公式サイトより引用)

カンボジア系フランス人のダヴィ・シュー監督による作品。表情や光で余韻を残そうとする、とっても映画らしい1本だった。主演のパク・ジミンさんはなんと演技初挑戦とのことでびっくり。ダンスや、落ち着かないときの手の動きとか…全身で感情を表現されていて素晴らしかった。パク・ジミンさんの存在の説得力が大きかった。ある再会シーンで、一切言葉を話さないところも良かった。

 

フレディの実のお父さんについては、謝罪も自己満足にしか思えなかったし、フレディに韓国語を勉強させたがるくせに自分はフランス語を勉強しないし…でむかついたけど、あまりにも粗削りな優しさを見せてくるから、だんだん感情移入してしまったよ…。養子に出すしかなかったのは社会的背景のせいも大いにあるからこそ、フレディがどこに怒りをぶつけていいかわからずに困惑するのが辛かった。

 

フレディが終盤意外すぎる職業に就くことも、観ている人を安心させないラストもソリッドで、痛い気持ちを抱えて観終わったが、そういう痛みや摩擦を見逃さないことがこの映画の良さだとも感じた。観客を信じている創作物だなって思う。

【映画】カーンターラ 神の降臨

<概要>

約170年前、パンジュルリ神のお告げにより先住民に与えられた広大な森。
カードゥベットゥ村は、長きにわたって伝承されてきた神降ろしの儀式ブータ・コーラを執り行い、
土地を奪い返そうとする地主が現れてもなお、神の加護により平穏を築いていた。

しかし、新しく森林局へ赴任したムラーリ保安官(キショール・クマール・G.)は、
村人が占有する地を保護林に組み入れようとし、
村が存亡の危機に晒される。

ブータ・コーラの演者だった父を持つ
村一番の放蕩者で猛々しい水牛レースの絶対王者として君臨するシヴァ(リシャブ・シェッティ)は、
村の平穏な暮らしを守るべく傲慢な森林局と対立。
やがて事件が起きる―。

(公式サイトより引用)

インドの先住民の文化を扱った映画とのこと。「権益を独占しようとする奴の好きにさせない!」って立ち上がる民衆の姿がエンタメとして描かれるのは、インド映画の魅力だなといつも思う。女性の自主性を結構取り上げようとしていたところも良かった。インド映画では、女性が男性のためのアイテム的に描かれてしまうことがとても多いし、女性の性があまりにもタブーにされてるから…(ただ、女性キャラの入浴を男性キャラがのぞくシーンをギャグとして置いたりしてるのは問題だと思った)。

 

ストーリー展開はかなり強引だったけど、「決める」シーンの力が強すぎるため、「もういいか…ストーリーの話は…」と言う気持ちに。水牛レースのシーンと、神の降臨シーンがあまりにもかっこよくてオリジナルだった。主演のリシャブ・シェッティさんは監督も兼任されているらしく、エネルギーがありすぎる。

 

映画のためにデザインを変わったりしてるのかなと思って調べてみたら、モデルになったとおぼしきお祭り(?)の方が装飾が派手かもしれないくらいの感じだった…。

youtu.be

(どうして顔を黄色く塗ることにしたのかが気になる)

 

youtu.be

映画と同じ言語圏(カンナダ語)にある寺院のお祭り。映画では松明が印象的に使われていたが、実際に松明をもりもり投げておられる。迫力がすごい。

映画は続編もあるらしい(ちなみに続編の方が時系列的には過去らしい)のでぜひ観てみたい…。

カーンターラ 神の降臨

カーンターラ 神の降臨

  • リシャブ・シェッティ
Amazon

 

コンテンツ月記(2026年8月)

Cooking for Geeks 第2版 ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

(画像は書籍『Cooking for Geeks 第2版―料理の科学と実践レシピ』の書影。画像を押すとAmazonの販売ページに飛びます(アフィリエイト))


ポッドキャストで詳しく紹介していない映画・漫画・本の話などをするコーナーになりつつある、コンテンツ月記。今回は、3作品を紹介します。

 

(アフィリエイト有。Amazonに問題を感じているけど、他の方法で自分が望む収入を得られるようになるまでは利用させてもらうよ!ということで、いろんな事情でAmazonを使用されている方はご活用ください)

 

 

前半2本は、Apple TVの作品。

ドラマ:スモーク

※火事の現場や犠牲者の様子、自死に関する描写を含む作品です

※性的なシーンや、動物食のシーンも含みます

 

以下、概要。

不本意ながらチームを組むことになった放火捜査官と刑事。2名の連続放火犯を捕らえるための彼らの戦いが、秘密と疑惑の絡み合うゲームに火をつける。

(Appleの作品紹介より引用)

途中までこれは面白いぜ…とワクワク観ていたが、終盤に向かうにつれてだんだんまとまりを失ってしまったなあ…と思い、惜しく感じた作品。もっと最後までめちゃくちゃ面白く、強いメッセージを残すドラマにできそうだったから。男性性中毒の問題と、ホモソーシャルに適応することで自分の価値を証明しようとする女性の問題を描こうとしていたところはかなりナイスだった!

 

キャストの演技はみんな素晴らしいが、特にデイヴを演じているタロン・エジャトン氏とフレディを演じているンタレ・グマ・ムバホ・ムバイン氏がすごい。あと、ハーヴェイというキャラクターの絶妙な嫌さがすごかった。軽い気持ちで自分が抱えている罪悪感を誰かに少しでも引き取ってもらおうとするのは、本当に身勝手だと思う…。

 

John Leonard Orr氏という実在の人物をモデルにしてる話なので、ドラマを全部観終わったらこの人物について調べてみるのもおすすめ。

 

そして、とにかくオープニングがかっこいい。ずっと曇り空の本編にぴったり。

AppleTVのドラマはオープニングが強いものが多いなと思う。

 

火を恐ろしく、しかし魅力的に演出しているのもAppleならではだなあと感じながら観ていた。

tv.apple.com

動物番組:太古の地球から~よみがえる恐竜たち~

以下、概要。

ジョン・ファヴローと「プラネットアース」のプロデューサーが手がけるこの壮大なシリーズで、かつてないほどの世界の不思議を体験してください。荘厳なる恐竜と驚異的な生物が大地、海、空で動き回っていた時代にタイムスリップしてみましょう。

(Appleの作品紹介より引用)

3シーズンあるうちのごく一部しか観ていないんだけど、どの回も生き物のデザインが好きな人(漫画『天地創造デザイン部』が好きな人とか←私はこれもごく一部しか読めていない…)はきっとうきうきできると思う作品。古生物について、最新の研究成果を踏まえて作られている作品らしいんだけど、どんな研究成果が反映されているのか、まとめた本とかが出たらぜひ読みたいな。

 

私は、シーズン2のエピソード4「大海の恐竜たち」で出てきたへんてこな形のアンモナイトたちに夢中になってしまった。アンモナイトってあんなにいろんな形のがいるんだな…(クリップもしくはトロンボーンみたいな形のアンモナイトとかが出てくる)。そのあとアンモナイトについて調べていたところ、ニッポニテス・ミラビリスなる魅力的なアンモナイトにも出会った。いつか化石を見てみたい!生き物のデザインセンスは本当に予想不可能。

www.palaeo-soc-japan.jp

cocreco.kodansha.co.jp


珍しいデザインの動物(恐竜含む)が観られるだけではなく、現在生きているものと全くサイズが違った昔の動物が見られるところも面白い。デカすぎるアルマジロとか小さすぎる象とか。

動物だけではなく、背景に映る自然(これはCGで作ったのではなく、実際に撮影したものらしい)も素晴らしい。

tv.apple.com

 

ここから、本。

本:Cooking for Geeks 第2版―料理の科学と実践レシピ

※動物食も扱う本で、私もちょっと動物食に触れます。

以下、概要。

本書『Cooking for Geeks』は、ギーク、エンジニア、プログラマー、そして料理を深く知りたい読者のための書籍です。味(塩味、甘味、酸味、苦味、うま味など)を構成する物質や、食材に含まれるタンパク質、脂質の種類に応じた最適な調理方法(温度×時間)など、料理の背景にあるサイエンスを詳しく解説。これらを知ることで、いつもの料理はよりおいしくなり、まったく新しいレシピを生み出すヒントになり、さらにお店の料理を深く楽しむことも可能になります。朝食、メインディッシュ、そしてデザートまで、100を超えるユニークなレシピと、シェフ、研究者、パティシエなどのインタビューも掲載。第2版では、全面的な加筆が行われ、すべての項目がより詳しく、より整理された内容に生まれ変わりました。話題の「真空調理法」についても詳しく解説を行います。

(オライリージャパンによる紹介ページより引用)

読破できていないけど、読破できる日は来ないような気もするので、忘れないうちにメモしておく。稲田俊輔さんが提供する食情報が好みだという人には、特におすすめの1冊。

 

私はほとんど毎日料理をしているけど、自分で作る料理には何らかのセンス・オブ・ワンダーがないと日々続けるのは無理だと感じている。おいしいだけではなく面白くないと、調理に使った労力に見合わない気がする。

 

ということで、食べてみるまで結果を予想しにくい組み合わせの味の取り合わせのレシピを取り入れたり(例えばバジルペーストとバニラアイスを混ぜるとか、ブルーベリージャムとバルサミコ酢を合わせるとか)、今まで自分が食べたことのない野菜や魚、調味料などを試してみたりするのが好きだ。

 

私のように料理に面白みを求めている人には、きっとワクワクする情報がたくさん載っている本だと思う。私は、この本で初めて「食器洗浄機で料理を作る」という実験をしている人がいることを知った。

 

他にも、「味をどのように感じるかは味蕾の数だったり年齢だったり、いろいろな要素が影響しているので、全員が同じように感じているわけでもないし感じられるものでもない」ということを丁寧に説明しているところもいいなと思った。食べ物を味わうことが好きではなかったり難しかったりする人のことも排除していないところが素敵だ。

 

コンテンツ月記(2026年7月)

問題だらけの女性たち (河出文庫)

(画像は書籍『問題だらけの女性たち』の書影。画像を押すとAmazonの販売ページに飛びます(アフィリエイト))


ポッドキャストで詳しく紹介していない映画・漫画・本の話などをするコーナーになりつつある、コンテンツ月記。8月になってしまいましたが、7月分。

今回は、3作品を紹介します。

(アフィリエイト有。Amazonのこと好きじゃないけど(本の販売ページとか、差別的なコメントに報告が入ってもコメント消されないってどういうことなの!?)、他の方法で自分が望む収入を得られるようになるまでは利用させてもらうよ!)

問題だらけの女性たち

女の脳は小さい? 女が考えると生殖器がダメになる!? 19世紀の女性たちがいかにバカバカしい迷信と固定観念に苦しめられたか、ユーモアと皮肉炸裂で描くイギリス発ジェンダー絵本!

笑うに笑えない、19世紀ヴィクトリア朝の「大問題」な女性観。何をするにも「問題」があると決めつけられ、「歴史のゴミ箱」に捨てられた女性たちをすくい上げる!

(河出書房新社の作品紹介より引用)

今は30代の私は「あまりにも女性蔑視的な物語が多すぎるから、中学・高校の教科書に載っていた小説の中で読みとおせるものは今はもうほとんどないかも」と最近感じているが、高校生の時にこの本を読んでいたら世界史とか倫理とかの教科にもバカバカしくて取り組めなかったかもしれない。

ショーペンハウアーの言葉「男性だけが天才に不可欠である完璧な客観性を備えている」、ピカソの言葉「女性の存在価値は苦しむこと」、ルソーの言葉「娘たちには人生の初期に挫折させてやる必要がある」などがおちょくりイラスト&コメントとともに紹介されている。

イラストがふざけすぎているため、腸が煮えくり返るような内容だったけど(たぶん著者のジャッキー・フレミングさんも、訳を手がけた松田青子さんもそう思ってる気がする)楽しく読めた。

奴隷として綿摘みをさせられながら教師と医師の資格を取得したエリザ・グリアー、授業を盗み聞きすることしか許されなかったのに14言語を学んだアンナ・マリア・ファン・シュルマン、馬に乗ってアメリカを横断したアスピン・ウォールなど、かっこよくて破天荒な女たちもたっぷり出てきます。こういう女たちの物語も読みたいな!

友達じゃないかもしれない

「私を認めてくれるのは、私が女だからなんじゃないの」――上坂あゆ美(歌人)「すべての人間関係がロールプレイングゲームになる」――ひらりさ(文筆家)親しげに見えた二人の日記が、静かな火花を散らす。ジェンダーへの問い、家族の呪い、仕事の挫折、美醜の悩み……「あと何をしたら、私のことを嫌いになりますか」互いへの違和感は、未知の自分を知るヒント。気づけば、自分の中の〈怪物〉が愛おしくなる――もがき続ける人を祝福する火の玉往復書簡。

(中央公論新社の作品紹介ページより引用)

こんなに一触即発な雰囲気の往復書簡は、初めて読んだかもしれない。お二人とも言語化のプロなのだが、手紙を書きながら「前に書いたことはよくよく考えたら自分の考えとちょっとずれてたかも」みたいな修正が時々入るところも面白かった。言葉は考えを枠に入れちゃうものだから、日常的なやり取りももっとそういうやり方にするといいかもしれない。

人生では「can’t stop」なものをやるといいみたいな話が出てきて、ひらりささんのそれはいいと思ったものをすすめることなんじゃないか?というようなことを上坂さんが書いてたけど、私の「can’t stop」もそれかも…と発見があった。小学生の時から、好きな作品を周囲に宣伝しまくる人生だった。上坂さんは、人生で自分だけがみつけたことをシェアするのが好きだと書かれていた気がする。

あと、上坂さんが樹木希林がお好きで、樹木希林のように人気投票をしたら上位になりそうなキャラとして生きたいという話を書かれていて笑った。同居人のノビオちゃんと、最近時々この概念について話している。

お二人が毎回その回にあった短歌を添えているんだけど、素敵なものが多くて、短歌を噛みしめるのも楽しかった。

 

※希死念慮に関する内容が少し出てくるので、今それは読めないかも…という方はしかるべきタイミングがきたら、ぜひ。

アラスカ・ワンダホー!

突然の父の転勤で、アメリカ最北端の州・アラスカで暮らすことになった世鳥一家。
オーロラや氷河や雪山や、野生の動物たちなど「これぞアラスカ!」という大自然とのふれあいと、国際色豊かな高校生活をおくるなかで見えてくるカルチャーギャップなど、読みごたえ抜群のコミックエッセイです!

(イースト・プレスの作品紹介より引用)

私は1日に1作品、なるべく新しい漫画作品を読むようにしていて、コミックエッセイも結構読む。いろんな場所の日常生活の話を読むのも好きだ。

この漫画には、白夜の不思議さや寒すぎてスクールバスがなければ帰宅できないこと、家からオーロラが見えることがあることなどが記されていて、興味深かった。「こんなに冬が長い場所では憂鬱な気持ちに覆われてしまう人も多いだろうな」と思っていたら、やっぱりそのことも触れられていた(冬季に元気でいる画期的な方法はないんだろうか…)。

のどかな場所のイメージを思い浮かべながら読んでいたが銃が使われて亡くなってしまう住民がいたことも綴られていて、意外だった。銃を個人が持つことはやはり悪い側面の方が大きいんじゃないかなあ。

この漫画は2010年代くらいの話だったかと思うので、今は全然状況が違うかもしれない。

ちなみにかなり動物食の話は多めです。

Podcast公開:映画『フィーリング・スルー』他について話しました

フィーリング・スルー

(画像は、映画『フィーリング・スルー』の場面写真。クリックするとAmazonの販売ページに飛びます)

 

ポッドキャスト関連のブログ記事は久々です。

各回の概要欄に貼られている参考作品などをブログにも貼っておくと参照用に便利かなと思いまして、今回は入れてみました。でも、次回も公開直後にブログを更新できるとは限りません…!

※アフィリエイトリンクありの記事です。

 

同居人でソウルメイトのノビオちゃんとやってるポッドキャストの、映画『フィーリング・スルー』他について語った回が公開されました。

以下三つのうちどちらからでも、ぜひお聴きください!

YouTube(音声のみです)

youtu.be

Spotify

open.spotify.com

Apple Podcasts

■けそからの補足

ポッドキャストではおすすめしきれなかったのですが、以下の作品などもおすすめです。

・ミニッツメン

核戦争がいかにギリギリ回避されているかを表現した作品。

・死亡フラグの彼女

クィアの役者が不幸な役ばかり押し付けられる問題をコミカルに描いた作品。

・コスモスなしでは生きられない

冷戦時代の宇宙開発競争を背景にしたロシアのアニメ作家による作品。主要人物二人のクィアな関係の可能性も考えてしまう(ロシアではクィアについて自由な表現が難しいから、このような形で描いたのかも…(とはいえ、かつて西側陣営と呼ばれた諸国でも「自由」なわけでもないですよね))。

■ラジオ内で言及した作品など

1・ショート映画配信サービス『SAMANSA』 

lp.samansa.com

2・インターネット検索エンジン『DuckDuckGo』 

duckduckgo.com

3・『SAMANSAのこれまで と これから』 

note.com

※「SAMANSAの収益のほぼ半分をクリエイターに還元している」話について

4・ショート映画『ジェンダー・リビール』 

filmarks.com

※レビューにはクィア差別的な意見やジェンダー・アイデンティティと性的指向をごっちゃにしてしまっている意見なども多いので注意が必要です。

5・生まれてくる赤ちゃんが男か女かなんて、興味ないのに。13分映画『ジェンダー・リビール』 

www.youtube.com

※SAMANSAによる映画紹介

6・映画『愛しのセニョリータ』 

www.netflix.com

7・ドキュメンタリー『エブリボディ』 

www.netflix.com

8・ドラマ『インテリア・チャイナタウン』 

www.disneyplus.com

9・ドラマ『ブラック・バード』 

tv.apple.com

10・ショート映画『薬』 

ja.samansa.com

11・ノンフィクション本『酒を主食とする人々: エチオピアの科学的秘境を旅する』を語る 

open.spotify.com以下を押すと、書籍の購入ページに飛びます↓


12・『バンコク二十四日目の日記(人を信じることは難しい、の巻)』 

note.com

※数年前のけその旅行記。今のけそだったら絶対こういう書き方はしないな…と思う部分も多いけどご参考までに

13・ショート映画『ウェイ・アウト』 

ja.samansa.com

14・ショート映画『シスター』 

ja.samansa.com

15・ショート映画『チェロキー・グランドマザー』 

ja.samansa.com

16・『文化の盗用|前編:KPOPと文化の盗用と黒人文化』 

japan4blacklives.jp

『文化の盗用|後編:KPOPと文化の盗用と黒人文化』 

japan4blacklives.jp

17・ショート映画『フィーリング・スルー』 

ja.samansa.com

18・【制作の裏側】映画制作の本当の価値とは?『フィーリング・スルー』監督が語る人をつなぐ物語 

note.com

19・『コンテンツ月記(2025年、9月)』 

queso-samba.hatenablog.com

※けその「ぼくのデフブラらいふ」感想について

以下を押すと、書籍の購入ページに飛びます↓

20・ドキュメンタリー作品配信サービス『アジアンドキュメンタリーズ』 

asiandocs.co.jp

21・ショート映画『ともだち』 

ja.samansa.com

コンテンツ月記(2026年、6月)

SCLYX 【青いヘビ ぬいぐるみ】ポップ キャラクター 変形可能 セラピー トイ - ソフト マスコット クリスマス プレゼント ギフト (ゲイリー (小型))

(Amazonで売ってるズートピア2に登場する蛇・ゲイリーのぬいぐるみ。画像を押すとAmazonの販売ページに飛びます)

 

ポッドキャストで詳しく紹介していない映画・漫画・本の話などをするコーナーになりつつある、コンテンツ月記。

今回は、映像作品3本を紹介します。が、いつもより「うーん…」なポイントを多めに書いております。

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ズートピア2

たびたび書いてる気がするけど、クィア表現をクリエイターたちに削らせたりしているし、私はディズニーのことを全然積極的に応援したいわけじゃない。が、応援したい作品(一流シェフのファミリーレストラン)を観るためにDisney+に登録したので、ズートピア2は今回どんなメッセージを打ち出したのか?が気になって観た。パレスチナについて語ろうとした作品じゃないか?って指摘してる人をSNSで見たのもあり。

もちろんキャラクターたちの動きはかわいいし、観てわくわくするところも多いんだけど(崖にいるヤギ(インターネットでよくみるやつだね!)、怖めのイルカ、蛇の家に置かれた絨毯の形などなど…)、今回に関しては限界の方を多く感じたかも…。

それはなんでかっていうと…1のときから感じていた「人間社会の差別についてを動物でたとえるの、無理では?」という気持ちが、2はますます強まったから!前作について、「実際に他の動物を捕食する動物がいるという状況がある上で、それを人間にあてはめてたとえ話をするのは無理ではないか」という指摘をしている人がいて、私もそう考えていたんだけど、2にも似た問題点を感じましたね…。

おっとりした優しい蛇のキャラであるゲイリーは、「ヘビは噛まないよ」っていうような話をしていた。これを子供たちにみせて大丈夫なのか?ということがまず気になった。だって、噛むよね?! 

2では「見た目が違うからって、違う文化背景を持つ存在を『危ない』って判断しないで!」ってメッセージを打ち出したかったんだと思うけど、動物に関して言えば見た目で「近づくな」と周囲を警戒させてる種もいるから(蛇もそういう種類が多いと思う)、このメッセージを動物の姿で語るのは無理があるぜ…。 
擬人化した動物キャラを出すにしても、『私ときどきレッサーパンダ』みたいな、あくまで人間の世界にちょっとだけ動物の姿の人間のキャラを出すよ!くらいのバランスにしないと危ないのではなかろうか。

ディズニー&ピクサー、どちらの作品にもこういう「たとえ話を使っているがゆえに生じちゃう問題点」が結構あると思う。『マイ・エレメント』についても「火を恐れる人がいるっていうのは差別じゃなくて、自分の身体が近くにいると燃えちゃうかもって危機感があるからでは!?」と思ったし。「近くにいる相手に物理的な害を与えちゃうかもしれない存在」を出しつつ、「差別はやめよう!」ってメッセージはちょっと打ち出せないだろう、それは差別じゃなくて実際に存在している危険なわけで…(かえって差別を擁護する派の力になっちゃわない?)。

 

あと、「みんな尊重しよう」って話なのに虫の扱いは雑なのでは!?ということも気になりましたわ(ちなみに、ピクサーの『私がビーバーになる時』についても同じことを思った)。

第一に、虫は擬人化されないってこと(今回は哺乳類だけが意志ある存在としてズートピアにいることを許されてるっていう問題点を扱っていたと思うんだけど…でも「哺乳類以外の尊重されるべき存在にも目を向けよう」の範囲から虫は除外される感じなんだね!?という驚き)。

第二に、「キモい食文化」の代表として虫を出して、それをいやいや食べるっていうのをギャグシーンにしていたこと。

私も虫を食べることを自分ではしないし気持ち悪くも感じてしまうけど、それは文化的に刷り込まれた価値観であって絶対的なものじゃないわけで…少なくとも、「世界中に」届けたいと考えている作品で虫を食べる習慣を嗤うみたいなのは、それこそ差別につながるだろと思う。


今回唯一めちゃくちゃよかったと感じるところは、ゲイリーの声優にキー・ホイ・クァン氏が起用されたところ!『エブエブ』で助演男優賞を獲得されたとき、「アジア系俳優にはアメリカで活躍の場があんまりないと思わされてきたけど、あきらめなくて良かった」というような話をされてたから、もっといろんな作品に出てくれーーと願っていて。温かさを感じるぴったりの役で、良かったなあ。ゲイリーは好きなキャラクターでした。

 

youtu.be

シターラ 夢を抱け、少女たち

ネトフリで観られる児童婚を問題提起する短編アニメで、舞台となるのは70年代のパキスタン。

短いアニメでこういう重いテーマについて語れるってことは大事なことだなあと思いつつ…気になることもいくつかあり。

まず、タイトル。少女たちはすでに夢を抱いてんだよな、「それを潰さないで大人たち」って話なので、そこはずれてるよなーと感じた。

あと、「パキスタンを描いたアニメで他の地域が観られるものは少ない中で、この作品を優先的につくるのはかえってヘイトの的になっちゃわない?」ということも気になった。しかもアニメを観ているときはこれが70年代の話って明示されなかった気がするし…(でも今でもパキスタンでは6人に1人の女性は幼少期に結婚しているらしい…つらい…どうしたらいいんだろうな…)。

児童婚を手配したであろうお父さん(とおぼしき人)が結婚式が終わったあとで反省した素振りを見せるんだが…そのことでなんとなくハッピーエンドっぽくされてしまうことも嫌だった。今反省したっておせえんだよ…!結婚させられた娘(とおぼしき人(※))の人生はこれからも続くんですけど?!…でもどうなのかな、観た人に理不尽だよ!って感じさせることが目的の作品だったのかな…?
(※セリフのない作品だったんだけど、セリフがない作品は観てる人がステレオタイプを利用しながら鑑賞することになりがちかも…ということも気になりはした…。こういう見た目ってことはこの人お父さんでしょ、みたいな)

youtu.be

ANIMA

今回紹介する中で唯一良かったところが多かった、ダンスと音楽の可能性を感じる作品。はちゃめちゃ豪華なダンスもりもりのMVを観たような気持ちになって、短い作品ながらも満足ポイントがとても高かった。

ネトフリ公式の紹介文には「レディオヘッドのトム・ヨークと天才監督ポール・トーマス・アンダーソンが実現した、音楽と映像の見事な融合」と書かれているが、これは嘘じゃなかったと思う。

地下鉄とか街灯とか、都市っぽいものをめいっぱい使っていて楽しい。急勾配を利用した撮影も楽しかった。

HANAのナオコ氏(素晴らしいダンサー!)がどこかのインタビューで、たしか「最近は気味が悪いと思われる動きを目指している」という話をされていた。それは軟体動物みたいな…違う身体構造を持つ生き物の動きを人間の身体で再現するってこととかが含まれるのかな?と感じているんだけど、この作品のダンサーたちの動きもそれを感じてわくわくした。何かを極めている人を観るのは楽しい、それが誰かを踏んでるんじゃない限り。

youtu.be

コンテンツ月記(2026年、5月)

リボンの男

 

ポッドキャストで詳しく紹介していない映画・漫画・本の話などをするコーナーになりつつある、コンテンツ月記。

今回は、本2作品を紹介します。

本の出版も7月頃から難しくなってしまうのではないか?と言われている今…。本を読める幸せを噛みしめつつ、政治に対して声をあげていかねば。

 

(アフィリエイト有。Amazonのこと好きじゃないけど、他の方法で自分が望む収入を得られるようになるまでは利用させてもらうよ!)

 

リボンの男

おとうさんはねえ、ヒモじゃなくてリボンだよ――「時給かなりマイナスの男」の専業主夫・常雄が、野川沿いの道を3歳のタロウと歩きながら発見した、新しい“シュフ”の未来。

(河出書房新社の作品紹介ページより引用)

 

元々考え方がとても好きな山崎ナオコーラさんの本が英訳されたということで、日本でもこれから注目されちゃうに違いない!と思って、何冊か続けて読んだ。

(外国で評価されないと注目されないなんて残念すぎるが…)

ナオコーラさんの本はいつもとても読みやすくフレッシュで、意見が違う人に対しても柔軟だ。

賃労働をしていないことで落ち込んでいる人や、賃労働で自分は大した価値を作れていないと思ってしまう人を救済するような本をナオコーラさんはたくさん書かれているが、この本もそんな一冊。世界を広げていくだけでなく、小さな世界をじっくり見ることにも価値をがある、ということを丁寧につづっていて、どんな人のどんな生活にも研究対象は立ち上がるはずだよ、そして人生は面白くなるはずだよ、と言われているようだ。

 

常雄(と紹介文には書いてあるが、妻に主人公の人物は「妹子」と呼ばれている(苗字が小野だから)から、そちらの方が読者としてはなじみがある)はタロウと散歩しながら、虫や鳥や植物を観察し、毎日知らなかったことを学んでいく。幼いタロウの発言からも、妹子は世界の新しい見方を学ぶ。小型犬はかわいい顔以外の表情だって見せることや、知らない人に対して向ける第一声があいさつでなくてもいいんじゃないか?ということなど。子育てをする親たちと話す中で、妹子は「他者のプライベートを詮索しないで交流する雑談って、実はすごいんじゃないか?」と雑談の価値にも気づき始める。

妹子の婚活話も、すごくナオコーラさんらしくて良かった。
自分の周りの婚活経験者の話を聞いていると婚活はまるで自分を曲げなければ終わらないように思えていたが、この本の中の人物たちはそうではなかった。曲げた自分で結婚したら、その後の人生は大変な気もする。自分がそうしたくないなら、婚活写真を真顔で撮ったっていいって、私も思う。

深夜の30分ドラマとかで実写化したら、それもきっといいだろうなあ、と思う一冊だった。初夏に読むのにぴったりの本。

リボンの男

リボンの男

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ストーカーとの七〇〇日戦争

ネットで知り合った男性との交際から8カ月。
ありふれた別れ話から、恋人は突然ストーカーに豹変した――

執拗なメール、ネットでの誹謗中傷……「週刊文春」連載時に大反響を呼んだ、戦慄のリアルドキュメント。
誰にでも起こり得る、SNS時代特有のストーカー犯罪の実体験がここに。

【本文より】
Aは「俺をストーカー呼ばわりしたことは許せない」と言い募り、失うものはなにもないから、知り合いのライターに頼んでこれまでの交際を曝露してやると言いはじめた。さらにフェイスブックの中の友人にいいね!をつけていることから私がその男性と浮気をしていると決めつけた。(中略)鬱病になったのも私から暗い愚痴ばかり聞かされたからであり、損害賠償で訴えてやるとも。どうしよう。完全に正気じゃなくなってしまった。
――「1 別れ話」

(Amazonに掲載の本書紹介ページより引用)


たしか2010年代の出来事について綴られた本だったと思うので、この時より法規制は進んだと思うものの…あまりにも理不尽なことばかりで、読みながら腸、煮えくり返った(しかし、私も毒親との戦いで日々社会の理不尽を感じているので、他の理不尽と戦う人のエピソードを読みたくて読んだ)。

警察に事情を話して大事にしなければ、いざというときに誰にも対応してもらえない。しかし、警察に話したことで相手の神経を逆なでしてしまう可能性もある。

弁護士に間に入ってもらうときの費用を自分で払わなければならないし、ストーカー対応に詳しい弁護士でなければスムーズに事を終わらせようと加害者に都合の良い方向に進められてしまう可能性がある。再度加害されたくないという理由で加害者へのケアを望んでいることを話すと、相手が更生に前向きな姿勢を示したら罪が軽くなってしまう可能性があると言われる…。

すでに傷ついている被害者がしなければいけないことがあまりにも多すぎるし、あっちもこっちも落とし穴だらけすぎる。


誰かを「治療対象」だと第三者が決めつけることは人権侵害だ、という話は、特にリベラルの間でよく聞かれるし、基本的には私もこの意見に同意している。

しかし、何らかの加害(精神的なものも含む)を繰り返している人は、この本で指摘されている通り、加害に依存してしまってる可能性があるから、一人でそれをやめることは極めて難しいように思う…。どうすれば加害者へのケアを充実させることができるんだろうな…。

コンテンツ月記(2026年、4月)

江戸時代の魔女裁判: 豊田貢と文政京坂キリシタン事件 史料で読む庶民の暮らし


ポッドキャストで詳しく紹介していない映画・漫画・本の話などをするコーナーになりつつある、コンテンツ月記。

今回は、本2作品と映画1作品、合計3作品を紹介します。

 

(アフィリエイト有。Amazonのこと好きじゃないけど、他の方法で自分が望む収入を得られるようになるまでは利用させてもらうよ!今のところはなるべく依存度を下げる、ってことしかできないかな…)

江戸時代の魔女裁判: 豊田貢と文政京坂キリシタン事件

※処刑の様子など、暴力的な描写も含む作品です。ご注意を

江戸後期大坂のキリシタン摘発事件を題材にした歴史読み物です。主人公の豊田貢は、京都の都市下層民から遊女となり、その後宗教者としての才覚を現します。陰陽師の許状を得ると、女性門弟を多数抱え「八坂の見通し」と敬われ信者を増やしますが、邪宗を広める危険人物として主な門弟らとともに摘発され、大塩平八郎の吟味を受けるのでした。幕末に多く現れる庶民出の女性教祖の先駆とも言える生涯を魔女裁判風に見立て描きます。

(創元社の作品紹介より引用)

女性ができる仕事が限られていた時代(女性が一人で家を借りることすらできなかった!)、占いで生計を立てていた女性は多かったようで、顧客を失わないためにより強力な占いができるようになりたいと思っていた女性も、少なくなかったようだ。

主要人物の豊田貢さんは、水野軍記さんというほぼ詐欺師に不思議な力を手に入れる方法(たぶんインチキ)を教わり、教わった通りの修行(寒い冬も欠かさず、長期間夜中に水を浴び続けた)を実行したところ、未来が大体読めるようになる(なんで?インチキの方法だったのに)。さらに、同じ方法を何人かの女性が実行したところ、数名やはり未来がほぼ読めるようになる(本当になんで?)。

当時の日本では、キリスト教徒は「なんか怪しくて信用ならないけど、魔法が使えるっぽい」くらいに思われていて、貢さんも教わった修行を経て不思議な力を手に入れたから、自分もキリシタンなのだと思っていた。そして、その信仰(?)がばれてしまい、罰された。ノンフィクションなのに、すごくファンタジックな話だった。


貢さんは弟子になった女性が自分の思うように修行しなかったら食事を犬食いさせるなど嫌がらせもしていたし、かなり加害的な人ではあるんだけど。女性が一人で生きていくことが今よりもずっと難しかった時代、浮気した夫に出ていかれてそれからの人生をどうすればいいか途方に暮れていた女性が必死に修行して働いて、性格がキンキンにとがってしまうのは、当然と言えば当然だと思う。


「なんかわからんが敵っぽいもの」を呼ぶ言葉は、古今東西枚挙にいとまがない。

例えば、現在でも世界の各地で「共産党」という言葉は、「なんかわからんが敵っぽいもの」(=だから罰してもいいもの)のラベルとして、ずっと使われている。

 

江戸時代の日本で、そのラベル(の一つ)は「キリシタン」だった。著者の村上さんは日本の出来事を「魔女裁判」にたとえることを躊躇されていたようだけど(そしてその理由もわかるのだけど。特に歴史を研究されてる方だったら、手放しにOKとは思わないよね)、「なんかわからんが敵っぽい女」を過剰に攻撃してきた歴史って場所を問わずあまりにも似た姿をしてるから、そんなに的外れなタイトルだと私は思わない。あと、きっとこのタイトルじゃなかったら読まなかったと思う。文献を読み解いていくとこんなにいろんなことがわかるんだなあ…という驚きもあった。

 

(最初にこの本に興味を持ったきっかけは、はらだ有彩さんが手がけられていた表紙のイラストだったよ)

 

毒親と絶縁する

※かなり直接的な(身体的・精神的・性的)加害描写がある作品なので、読む際はご注意を

気鋭の若手評論家として活躍する著者が、なぜ両親との「絶縁」を宣言せざるを得なかったのか?
高校一年の冬に発症以来、現在まで続いている「パニック障害」の恐怖。
それを引き起こした原因ともいえる、「教育」の美名のもとでの両親による「教育虐待」。
そして結婚を機に両親との過去に正面から向き合おうとした結果、「絶縁」という選択に至った結末……。
自らの半生をつまびらかにする衝撃の告白は、著者と同様の体験を持つ読者に向けて、逃げ方と戦い方の範を示す。
(集英社新書の作品紹介ページより引用)


私はごりごりにリベラル寄りの考え方をする人間で、保守寄りの意見を読みたいときにほぼ唯一あてにしている書き手の方が古谷さんだ。

それは、古谷さんが「保守界隈」に跋扈してる問題(歴史修正主義など)から目を背けない方だから。

(リベラルに問題がない、と言いたいわけではない。リベラル派の中にも無自覚に差別的な発言・行動をしちゃってそれを指摘されても自分を変えない人は山ほどいるし、私も勉強しながら自分の至らなさを日々修正している)


歴史に強い関心を持つ古谷さんならではの、両親やご自身が育った時代の背景・地理的な背景の記述がかなり独創的。ある人の性格やコンプレックスについて、育った場所や育った環境を切り離して語るのは難しいことだよな、と改めて思った。

 

そして、勉強することや作品に触れること、生家の人間関係の外に出ることがどれだけ個人を支えるかを実感できる本でもあった。

親が勝手に決めたレールに古谷さんは全然乗らず、親は古谷さんを叩いたり罵倒したりあらゆる攻撃をしかけてくるのだが、十代だった古谷さんは本・映画・漫画・アニメに触れて、いろんな価値観・世界があることを知っていく。植民地支配の歴史(ひどい支配が行われても、支配された人々は抵抗することを諦めなかった)を学んで、たくさんの人が勝手に「正解」を押し付けられ、それと引き換えに一方的に渡される理不尽と戦ってきたことを知っていく。在日コリアンの社長の舎弟的な仕事(?)をされていたことも、きっと古谷さんが歴史修正主義に疑問を感じられるきっかけの一つになっただろう。


私は古谷さんのように、自分のやばい親と相対して戦うことはたぶんもうないと思う。

でも、こうやって戦った記録を残してくれたことに本当に感謝している。

どんな規模でもどんな方法でも、理不尽と戦った人は歴史の一部になる。

 

アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~

※性加害を含む暴力への言及シーンが含まれる作品です。ご注意を

1985年にアルゼンチンで実際に行われた軍事独裁政権に対する裁判を基にした作品。フリオ・ストラセラ検事、ルイス・モレノ・オカンポ副検事、そして法を信じる若者たちが一丸となり、強大な相手との裁判に挑む。クーデターで発足したアルゼンチンの軍事独裁政権は国民に過剰な弾圧を行った。その犠牲者たちに正義をもたらすため、ストラセラ検事たちは限られた準備時間の中で、脅しや困難に屈せず、軍事独裁政権の幹部らの責任を追及していく。
(アマプラの作品紹介より引用)

最近、日本の作品ばっかり読んだり観たりしているなーと思って、アルゼンチンの映画を観ることにした。久々にアルゼンチンのスペイン語が聞けて嬉しかった。たぶんアマプラだけで観られる映画(アマゾンはこういう良い映画もつくってるんだから、従業員とかにももっと優しい会社になっておくれよ…)。

 

映画を観終わってから当時の弾圧の内容をさらに調べたんだけど、映画で話されたよりももっと様々なことが行われていた。軍事独裁政権下で行われた弾圧というのは、たとえば以下のようなもの。

・共産主義的だとみなした市民を強制収容所に入れ、強制労働をさせる

・強制収容所の市民を電気棒などを使って虐待。性加害も頻繁に発生

・共産主義的だとみなした市民の子供を取り上げて軍人の家に引き渡す。母親は殺害

・共産主義的だとみなした市民の衣服を脱がせ、飛行機から海や川に捨てて殺害

 

今でも弾圧についてはわかっていないことも多いけど、被害者は3万人以上とも言われている。軍の組織内でも、虐待を受けていた人がいるらしい。そしておそらく、軍事政権側をアメリカが支援していたと言われている(中南米の政治に、アメリカは介入しまくっている。ひどい話だ)。

軍側は、「ゲリラから国を守るために仕方なくしたこと」「ひどい加害行為は組織的なものではなく、部下が自分の判断で勝手に行ったもの(出た!しょっちゅう聞く言い訳!)」だと主張している。法治国家として、これを野放しにしてはいけない。なんとか裁判で法の下決着をつけたいけど、検察側も軍の側についてしまった人が多く、なかなか軍の犯罪性を主張する人材を集められない…。

うまくハンドリングしないとすぐさま暴力一色の国に戻ってしまいそうなギリギリの状況で進む裁判を、じみーにじみー…にとらえた映画。

 

軍による様々な弾圧の証言を集める過程で「身内にこういうことをしてきかねない相手」だとわかっていただろうに、それでも脅しに屈しなかった検事たち、すごい勇気だ。言論は全然無力じゃなかった。ラストのスピーチが素晴らしかった。