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芸能界の裏事情×ミステリー=…?:マンガ『【推しの子】』の感想

次にくるマンガ大賞2021コミックス部門の1位を獲得したときにも結構話題になったと思うので、今更かい!感があるけれども…。
展開が速くて、キャラクターもかわいい面白いマンガなので、今日はこちらの感想をば。

(私はヤンジャンのアプリで読んでます!)


=冒頭のあらすじ=


宮崎県で産婦人科医として働く男・ゴローは、アイドルグループ「B小町」のエースで16歳の女の子・アイの大ファン。彼がアイのファンになったのは、研修医時代に担当した少女・さりなが彼女の熱狂的なファンだったからだ。しかし、アイが体調不良で活動を休止するというニュースが入り、ゴローは落ちこむ。

そんなある日、かなりお腹が大きくなった状態で初めて診察を受けるという、16歳の妊婦がやってきた。帽子を取ったその妊婦は、なんとアイ本人。父親が誰かは内緒で、出産することも公表しない、出産後はまたアイドル活動を続けると言うアイ。最初はショックを受けるゴローであったが、彼女といろいろな話をする中で、アイの出産を心から応援しようと覚悟を決める。しかし、いよいよ出産当日に事件が起こって…。

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序盤も序盤で衝撃的な展開が2つも起こるので、何を書いてもネタバレになってしまいそうだからここから先については書くのが難しいのだけど…。令和の芸能界の裏側を覗き見ることができるエンタメ要素と、作中発生するある事件の犯人探しのミステリー要素が掛け合わされて、感情をぐいぐい動かされる。これは賞獲るわ!納得。

特に芸能界の裏事情についての描写に、興味深いところがたくさんある(もちろん、どこまで現実に即しているかはわからないけど)。恋愛リアリティ番組はどのように撮影された素材を「演出」するのか(※)、有名な大所帯系アイドルグループに入った子ははたして安泰なのか?などなど…。


(※これに関連して、ちょっと脱線。『バチェラー4』、めちゃくちゃ面白かったけど、参加者の松本妃奈子さんが彼女のTwitterで問題点として指摘していたところ(参加女性は痩せるようにスタッフから言われ続ける、予告用の参加者自己紹介動画で誹謗中傷が集まりそうな編集がわざとされ本人に確認なく公開される、カウンセリングを受けられると説明があったがその場の会話をスタッフが聞いており秘密は守られない…等)はぜひ今後直してほしい…どうしたら直してもらえるんだろう?)


あれこれ綴られる裏事情の中でとりわけ印象的だったのは、マンガ原作の作品がドラマや舞台になったとき「思ってたの違う!」ってなりがちなのはなぜなのか?っていうエピソード。「あちゃー」と思う作品の中でも、なるべく良いものを創ろうと努力している人がいるんだな…。マンガを舞台用の脚本にする時、どういう工夫が必要なのか?って話も面白かった。
『【推しの子】』を読んだ後は、たぶん他のエンタメを見る目が変わると思う。

コミカルなテイストがベースだけど、時々切ない描写が差し込まれるところも飽きないポイント。出てくるキャラクターがみんな魅力的なのです…。最初に出てきた時「ひどいわ~」と思ってたキャラクターが、あることをきっかけに、再会したとき心を入れ替えてすごく成長していたり…。それぞれの立場に、それぞれの苦しみと喜びがあることを描こうとしているところが好き。

 

でも時々気になるところもあるのよ…。例えば、「結婚してない大人は一人前じゃないいじり」がたびたびあること。こういうギャグの古さがなかったら、ほんとにいいマンガなんだけどなあ。

 

 

==以下は、ほとんど私の備忘録ですが、ミステリー要素について、現時点(第67話まで読んだところ)で気になってるポイントメモです。もう読んだ人向けなので、ネタバレ注意!==

・アクアマリンやルビーという名づけについて。
いろいろな宝石がある中、なぜあえて「アクアマリン」なのか?誕生石が関係している?←新生B小町のメンバーカラーも何か関係がある?
※ちなみに、アイや子供たちの目に入っている星のデザインは、おそらくスター効果(宝石に星のような光の筋が入る効果)を参考にしたものだと思う。

 

ja.wikipedia.org


・途中から、黒い背景でドキュメンタリー風に登場人物たちが語るシーンが挿入されるようになるが、このドキュメンタリーを撮っている人は誰なのか?(最初、アクアかと思っていたけどどうやら違いそうなので…)何を目的にして撮影しているのか?いつ撮影されているのか?

・アイがパスワードに使っていた数字の意味は何か?
・アイが所属していたグループ「B小町」の由来は何か?

・なぜゴローの名字は出てこないのか?

・ゴローの遺体がまだ発見されていない(っぽい)のはなぜか?