螘サンバカーニバル

けそのブログだよ

コンテンツ月記(令和四年、水無月)

イースター島の、誰にも邪魔されずに海を眺められるところが好きだった。

東京、暑すぎてあらゆる気力が奪われています…。

(寒くても雨でも花粉症でも気力が奪われているので、もう、いつだったら快適に動けるのか?という感じですが)

 

私にしては珍しく食欲も低下しているのですが、こんなムシムシ激アツの日々にすっきりした気持ちになるのにおすすめの飲み物がありまして。
青い猫のパッケージの、『プシプシーナ珈琲』というところの水だしコーヒーです。

www.pushipushicoffee.com

(麦茶パックみたいに、水につけておくだけでおいしく出せるコーヒーなのです)

パック詰めされてるアイスコーヒーは、酸っぱさとかえぐみが夏は特に気になっちゃうんですが、これは澄んでて飲みやすいですよ~。

あと、少し前に、かもめんたるのコントをYouTubeで観るのにはまっていました。

外向けに朗らかなキャラを演じている人の毒々しい内側が出てくる瞬間を拾い上げるところと、お笑いなのにホラーみを帯びていく(ことがある)ところが好き。

2人組のお笑いって一般的に「変な人VSふつうっぽい人(観客目線の人)」の組み合わせで進むことが多いのに、かもめんたるのコントは最初はそのような構造のように見せかけて、だんだんどっちも「変な人」だとわかっていく…という展開が結構あるところも好きです。私は、「『変』と『ふつう』の間にそんなにはっきりした線は引けるもんじゃないよ」って姿勢で世界をつくってる人が好きなんだと思います。

特に好きなのをいくつか貼っておきます。

 

youtu.be


(↑意外な展開に転がっていく切れ味が特に好きな作品。就職説明会で機械みたいにクリーンにまともにしゃべってる人が、話してる中でちょっと人となりとか不器用さを出してくる瞬間が私は好きで、なんかそういう感じを味わえます)

 

youtu.be

(この作品は展開というよりも設定とタイトルが好きです。「バルーンアーティスト ペルの受難」。かっこいい)

 

youtu.be


(このネタはテレビでもやってたらしいので知ってる方もいるかもしれません。お笑い風の糖衣で包んでるけども、ホラーです)

かもめんたるのつくるもの、全体的に、もうちょっとナチュラル女性蔑視的な表現がなくなったらもっと人に勧められるのになー…って思ってます。

 

さて、近況報告的な?おすすめコーナーが長くなりましたが、本題に入ります。


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読んだもの、観たものを、書きなぐりのメモで記録します。完読できてないものも、書きたいことがあったらメモします。

すでに長めのレビューを書いてるものや書く予定のものは、基本的に除いてます(…と言いながら、ここで書いてる感想も割と長いんだけど)。

 

==評価基準(特に記載したいときだけ)==

\(^o^)/ 乾杯。愛。最高の毒なり薬。

φ(..) 特別賞(今後思い出すだろうシーン有等)

==ココカラ==

 


マンガ

青春は変態 φ(..)

シャンプーみたいに、恋愛の好みにもラベル分けが必要だと思う。
「かっこいい型」と「かわいい型」に。

かっこいい型っていうのは、スマートな気遣いとか駆け引きとかを楽しむ恋愛で、相手のたたずまいやふるまいが洗練されているほど恋心が高まる。
かわいい型っていうのは、互いのありようや関係性の不器用さ・スムーズじゃなさから生じるもどかしさ、おかしさを楽しむ恋愛で、相手の抜けてるところとかうっかり漏れ出てしまうところを見るほど恋心が高まる。

大人になるほどかっこいい型に移行すべきって思う人もいると思うけど、私はそれはなんだかゲームみたいだなと感じてしまって、すっかり大人になった今でもかわいい型の恋愛を素敵だと思う、自分がするにしても、物語として受け取るにしても。「かっこいい型」の土俵にのってるようで、実は相手のかわいげを見ることこそを楽しんでる人も、いると思う。

雑誌とかマニュアル本では「かっこいい型」の話ばっかり出てくるけど、これは相手のかっこ悪いところ・完璧じゃないところを見るとどんどん減滅しちゃうタイプの恋愛だから、長期的な関係を築く上で現実的じゃないのでは…と思う(そういうゲームを楽しめる人にとってはいいと思うけど、双方がそう思えているならば。現実の恋愛関係では、いいと思ってる恋愛の型が当事者間ですれ違っていることがいっぱいあって、そういうケースは破綻まっしぐら、だよね)。

 

で。前置きが長くなったけど、このマンガはかわいい特化型の恋愛マンガである。

ずー--っともどかしい。それが楽しい。
「いっつも手が変なポーズしてるな…ふふふ…」とか、「写真を撮ろうとしてるのを察してくれて、邪魔にならないように体を引いてくれたのか…?(やさしい)」みたいに、互いに互いを、あったかい目で観察してて。でもそれを直接言うと気持ち悪いと思われそうで、どちらも言えずにいる。

私は20代前半くらいまで、両想いになったときの楽しみとして、「片思い時代の一大事(思わせぶりなメールが来たこと、二人で遊ぶのに誘ってくれたこと、等)当時、相手サイドではどんな気持ちだったのか聞くこと」がすごくでかい!と思って生きていたんだけど、その双方の気持ちの答え合わせを最初から見せてもらえてるような…そんなマンガである。

 

同じ作者さん(山本中学さん)のマンガ『戯けてルネサンス』がすごく好きだった(戯けて…の感想を書いてる記事はこちら)のでこれも買ったんだけど、私はこの作者さんが描く男の子が本当に好きだな…。かわいいと思うポイントのツボが同じだと感じる(この巻に入ってる最後の話、特に!はー-好きー--!!高校生のときこんな出来事が起こったら、毎日寝るときに思い出して興奮して眠れなくなっちゃうだろうなー-)。

端から見ていてもどかしいのに、展開がスピーディーなところもいい。読んでてにやにやしちゃった。続きが気になる…。

(純情500%みたいな表紙だけど時々エロいシーンが出てくるので、気をつけて読んでね☆)


いつになったらキレイになるの?~私のぐるぐる美容道~ φ(..) 


以前、ニュースレターおすすめ記事を書いた、田房永子さんの最新作。
自分の見た目の変化を受け入れ、自分の姿をたまに好きだと思えるまでの、35歳~42歳の田房さんの試行錯誤をマンガと文章で記録した作品。

タイトルは「いつになったらキレイになるの?」となっているけど、冒頭で田房さんが書いているように、「一般的な美女」を目指す話ではない。美容好きの人が求めている内容とは、ちょっと違うかもしれない。美女ではないかもしれない自分を、時々好きだと思えるようになっていく話だ。

でもその、「自分を受け入れる」「自分で時々は自分のことを素敵だと思える」ための方法を発信した作品が増えるほうが大事なんじゃないかな…(美を極めよう的情報は、世の中にもう十分すぎるほどあるんだし…)と、私は思う。

(自分を受け入れる「自己受容」だいじ!と私が思うきっかけになった本、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』の感想を前にnoteに書いたので、ご関心あるかたはこちらもぜひ↓)

note.com


「見た目」の話、特に「自分の見た目が好きになれない」って話って、真正面から取り組むほど、どうしても重く暗くなりやすいと思う。見た目って、「その人の生まれながらのよさ」×「センス」の話、になっちゃうじゃないですか。生き方も反映されてる(と思われてる)部分でもあるし。だから、見た目を否定されると、その「否定した人」が自分自身であっても、かなりの太字で「ダメ人間」のレッテルを張られる厳しさがあると思うんすよね…。


しかし、そこはさすが田房さん。田房さんの面白さが爆発しているので、「テーマの重さ/つらさ」に読書を止められることがない。

まず冒頭、断食道場の壮絶な(しかし申し訳ないことにとっても面白い…)体験記から始まるところに驚いた。意外なカードすぎる、断食道場。最初の断食道場で嫌な思いをしたのに、間髪入れずにまた別の断食道場に挑戦するのにもびっくりした。とにかく今回も、田房さんの行動力がとてつもない。


そこから田房さんは…ホットヨガに行き、加圧トレーニングに行き、エステにもパーソナルカラー診断にも挑戦する。馬にも乗るし、新しいメイクも試してみるし、自分でイベントを企画したりもする(すごい)。田房さんは、行った先で嫌なこと・失礼なことを言われたりもするのに、自分の心とちゃんと対話して心の平和を取り戻してから、それでも外に出て行って、新しいことに触れていく。

私がこの本で一番感動したところは、たぶんそういうところだ。
「とにかくフットワーク軽くどんどん挑戦して失敗しちゃえよ!相談は『周りの目』じゃなくて、『自分の心』としながら。そうすれば、まあなんかどっかにはたどり着く!なにかしら楽しい瞬間には出会える!」
ってことを、行動で示してくれているところ。


一度失敗するともうだめだって気持ちになっちゃうこといっぱいあるじゃないですか…日々の疲れもある中せっかく一歩踏み出しても、世の中にはハードルばっかりじゃないですか…急な値上げ、嫌味とか失礼なこと言ってくる人、恐怖を煽って商品やサービスを売ろうとしてくる人…エトセトラエトセトラ。

それでも、怒ったり悲しんだりしながらでも、めげずに挑戦し続けたら、自分がちょっと嬉しくなる場所に辿り着くことができるかもよって、そう言ってくれる感じの本なんだ、これは。


巻末の清水ミチコさんとの対談に田房さんご自身の写真も掲載されてるんだけど、その笑顔がなんか一つ脱皮した方の解放感、みたいな軽さをたたえてて、素敵だった。

途中、ダンスの話も何度か出てくるんだけど。ああ、田房さんにすっごくリオのカーニバルに行ってみて、出場してみてほしいなあ!!!絶対田房さんはリオのカーニバルがお好きだと思うのになあ!!!と思いました。コロナが落ち着いたら…ぜひ…。
(※ご興味を持ってくださった方用に私の体験記も貼っておきます→こちら)。

 

あとあと、私が本書の中で一番好きだったフレーズは、「なんてステキなおしっこをするんだよ」です。

 

映画

叫びとささやき

たまには名作を観ようシリーズ(?)。
スウェーデンの上流階級の三姉妹と、この家で召使(←としか呼べない感じの雑な扱われ方をしている…)として働く女性の交流を描く話。

ストーリーはそんなに面白くなかった(ので、上記のストーリー紹介が雑…。古い作品ということもあって、価値観が共有できない部分が多く…(幼い頃のほうが、なんでも面白く思えたから単に私の許容範囲が狭くなった説もあるけど、フェミニズムについていろいろ読んだ今観ると、うえー…と感じてしまうことが多かった。女性の裸体を美しいもの・聖なるものととらえてるんだろうなって感じとかが苦手だった。←だから、裸体が「評価」の対象になることと繋がてって怖いと感じるんだよね…。女性の肉体を過剰に賛美したり「評価外」って嗤ったりするんじゃなく、ただそこにあるものとして受け止める映画のほうが、今は心地いい。『燃ゆる女の肖像』のように)。身分が低い人=心が美しい、みたいな描写も、今見ると偏見を助長してるよ…と思っちゃって。ギャルはいい子、みたいな…)。

でも、とにかくあらゆるシーンが美しい。
真っ赤な部屋に白い服の女性たちが佇んでいるところなど、絵画のようだった。いろんな映画監督(アリ・アスターとか)がこの監督の作品が好きだと言ってる理由は、きっとこういうところにあるのだろうな。鏡の使い方を見ても、アリ・アスターはこの人を参考にしてるとわかるね。


あと、タイトルがべらぼうに好きだ。

叫びとささやき

叫びとささやき

  • ハリエット・アンデション
Amazon


ライトハウス


『ミッドサマー』でおなじみの映画配給・製作会社、A24が噛んでる映画をもっと観たいぞ!と思って観た映画。

絶海の孤島で、1か月住み込みで働く灯台守の老人と青年、二人の関係が徐々に変化していく話。

 

こちらも、ストーリーはあんまり好みではなかったけど(神話っぽいストーリーなんだけど、私はそういうストーリーが苦手なんだ…エッセンスとして使うくらいじゃないと…)、モノクロの重苦しい空気で異世界にいるような気分になれたので、現実逃避としてはとてもよかった。昔の映画ふうに狭い画面で話が進むので、閉塞感がものすごい。
映画評論家の町山さんの解説を聴いて、より理解が深まった(解説は、恋人が買ったのを一緒に聴かせてもらった。町山さんは唯一無二の評論家なのにジェンダー観が更新されてないなーと思うことが多いから…そのあたりをちゃんと勉強してほしい…!)。監督は、とにかくその時代の背景をつくりこまないと気が済まない人で、この映画で話されている英語ですら当時の漁師のものを使っているらしく、現代に生きる英語話者が聞いても理解できないらしい。この物語をつくる上で参考にしたという二人の灯台守の実話が紹介されているんだけど、それがまた怖かったよ…。

ほとんど二人の芝居で進むんだけど、この二人の俳優さんたちの演技が大迫力で…。『フロリダ・プロジェクト』の管理人さん役が最高だったウィレム・デフォー氏と、『テネット』のニール役が激アツだったロバート・パティンソン氏(二人は他に有名な出演作がありそうだけど、私が観たことがあって印象に残ってる作品を挙げてみました)。『テネット』はストーリーに置いてかれてしまったあとパティンソン氏のかっこよさを追うのがほとんど唯一の楽しみだったんだけど(なんだろう、切ない色気がある人が私は好きなんだよね)、この映画だとぜんっぜん違う人に見える。デフォー氏も、ぜんっぜん違う人のよう。ある人間を目の前にしたときの印象って、もとの造形以上に仕草や表情でつくられるんだなと、俳優さんを見てると思うね…。
(いい演技なんだけど、悪天候の中や泥酔したところなど危なそうなシーンがいくつかあって、不安になった。公式サイトなど見る限り、なんだか(監督の)自由な感じで撮影したように思え、ちゃんと俳優さんやスタッフの安全が考慮されてたのか心配になってしまったよ…)

サシャ・シュナイダーの絵を参考につくられたシーンが衝撃的すぎて、笑ってしまった(そのびっくりを楽しみにとっておきたい方は、映画観てからググってください、サシャ・シュナイダー。これまで知らなかった画家だったけど、好きな絵だった)。ときどき、名画のオマージュとしてつくられたシーンを映画で見かけるけど、構図やモチーフを工夫して練ってる絵画のインパクトを借りるのは、映画を重層的にするために効果的だなと思う(浅い感想)。