♦︎配信開始『未成年裁判』(韓国)🧑⚖️
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) 2022年2月25日
主人公は、判事シム・ウンソク。非行少年への嫌悪を抱きながら、正義と処罰に対する信念を貫く冷静沈着な少年部の判事。その仕事は、複雑な事件と向き合い、罪を犯した若者に審判を下すこと。#未成年裁判 #JuvenileJustice #소년심판 pic.twitter.com/r40BmoPWZ8
Twitterで、「今まで観たドラマで一番面白かった」と書いてる人がいたので、Netflixで韓国ドラマ『未成年裁判』を観た。
チャ判事(上の画像の、左の男性。演じているのはキム・ムヨルさん)があまりにも好みど真ん中で、チャ判事が出てくるたびに嬉しかった…。キム・ムヨルさんが、この髪型でたたずまい(服もいつもかわいい)で性格であることがツボだったんですわ…。
…ということは置いておいて。
内容はというと、「今までのドラマで一番」かというと、うーん…だけど、面白かった。時々演出が冗長なところがあるんだけど、俳優陣の素晴らしい演技によってそこはあまり気にならなくなってくると思う。観終わってからしばらく経った今でも、この作品で描かれていたことについて時々考える。
観ている間、自分の価値観がゆさぶられる瞬間が何回もあった。本作を完走した暁には、「犯罪に走るような青少年はろくでもない。少年犯罪は厳罰化すべき」と考えることも、「罪を犯すことがあっても、どんな青少年もみんな綺麗な心を持ってるはずだ」と考えることも、どちらも極端だということがずっしりと感じられると思う。
特によかったのが、罪を犯した少女たちが(更生を目指して)集団で生活しているセンターの事情を描いた第4話。どんでん返し満載で、罪を犯した子供たちに寄り添う人の複雑な苦悩が描かれている。
この話に出てくるセンター長のように、人間同士の関係が特に大事になる仕事(教育とか福祉とか医療とかの分野が多い)に就いている人って、だいたい自分の生活を犠牲にしている。
雇う人を倍に、働く時間を半分にして、せめて週の半分は自分の生活を優先できるようになったらいいのにな…といつも思っている。経済的な面でも、信頼関係を築く面でも難しいところは多いと思うんだけど、昼夜を問わず年中一生懸命心身を削りながら働き続ける生活を続けたら、誰でもいつかは潰れてしまうと思うんだ…。
6,7話で扱われる受験戦争の問題も、うーんとうなってしまった。
経済的に上向いてる国・トップの国って、大体受験戦争が激しい。
若者たちが、学校以外の時間もほとんど全部をつぎ込んで、受験対策してたりする。
こちらは、中国の受験戦争について書かれている記事↓
この間、こんなことをツイートされている方もいた。↓
スタンフォードのアジア系米国人学生、幼少期から死ぬほど勉強・習い事・慈善活動・留学・スポーツや芸術に全方位で打ち込んでいて、皆人生を逆算したような全く隙が無い経歴を必死で作り上げており、超学歴社会である米国の競争の激しさが伝わってくると共に、幸せの意義について考えさせられる。
— Hiroshi Watanabe (@Hiroshi99857672) 2022年3月13日
こういう死ぬ気で努力して勝ち残ってきた学生達は、だいたい20代後半になると真の幸せとは何かを考え始めるので、今の米国大学院では「幸福学」という何が幸せかを追求する学問が人気です。概ね下記の本に書いてあるようなことを学んでいます。興味がある方はどうぞ。https://t.co/Q4kFjJDfLN
— Hiroshi Watanabe (@Hiroshi99857672) 2022年3月13日
10代の時間だっていつも人生の「本番」であって過程じゃないのになあ…って思う…。
何に向かって生きてるんだろうって、わからなくなっちゃうこともありそうだよ…。
国の経済が停滞するともちろんいろんな悪影響はあるんだけど、私たちは国を維持するために生きてるわけじゃない。若者としての時間や生活やエネルギーをこんなに削らないと国が維持できないんだとしたら、それは構造に問題があるんじゃないかな?テクノロジーがいろんな仕事を肩代わりしてくれるようになったのに、なんでまだ、こんな血みどろの努力をしないといけないんだろうね?
あとあと。私は、父親が絶対王政を敷いててしょっちゅう怒鳴られる家で育ったので、「親から様々な暴力を受けている子が安全に逃げられる保証がない」現実を描いていたところも、すっごく感情移入しながら観た。怒りと悔しさがぐるぐるした。うーん、やっぱりそれぞれの人の口座に入る形で(=世帯主とか「家長」に支給するって方法じゃなく)ベーシックインカム実施してほしいよ…!作中の登場人物も言ってたけど、公共サービスは24時間守ってくれるわけじゃないから、せめて誰もが自分で逃げられるように経済的援助くらいしてほしいよ!!
最後に、全体について印象に残った点。それは、「粗いステレオタイプを助長するような描写はしないぞ」って覚悟が感じられる内容だったところ。
ドラマ制作者の方(演出の方かな?)が、たしかインタビューで「作品をつくるにあたっていろんな少年犯罪の加害者たちに会ったけど、共通する特徴と言えるものはなかった。いろんな子たちがいた。いろんな子たちがいるんだということを描こうとした」というようなことを話されていたんだけど、そういう誠意が伝わってくる内容だった。
家がお金持ちだって、親が有名人だって(=そういう「恵まれてる環境にいる」と思われている子だって)、罪を犯すことはある。罪を犯す以外に道はないって思っちゃうような状況に追い込まれることもある。どうしてそこに追い込まれちゃったのかを考えないと、罪だけ重くしたって問題は解決しない。
日本でも、10代が加害者だったニュースでは特に「この子はどういう子だったのか?」って話題ばっかり報じられるけど、それらは「似ている特徴を持つ子は、危ないかもしれないから気をつけてね」ってメッセージを発信してしまっている気がする(というかそう意図しているのかもしれない)。排除は、恨みを生むだけだと思う。
(最後の最後に脱線。「少年犯罪者に共通点はない」の話について書いているとき、「ある集団に属する人たちは似てくるというけど、自分がいろんな集団の集合写真にまぎれこんで写ってみたら、それぞれの写真で違う『自分』みたいに見えるんだろうか?」っていうのを試していた現代アーティストの人がいたことを思い出した。あれは誰だったかな…。澤田知子さんじゃないか?と思ったけど違った。澤田知子さんは、髪型やメイクやしぐさを変えて、一人で何人もの人を演じた写真を作品としている方。一人で、学校の集合写真(教師含む)を10クラス分やってみたりとか(これです)。ユーモアがあって、皮肉が効いてて、好き)
↓ドラマ予告。ドラマ全部観終わったら、ぜひキャストについて調べてみてください。たぶん、あることでびっくりされる方もいらっしゃると思います。全然違う人間になれる、役者さんってすごい。