螘サンバカーニバル

けそのブログだよ

コンテンツ月記(令和四年、水無月)

イースター島の、誰にも邪魔されずに海を眺められるところが好きだった。

東京、暑すぎてあらゆる気力が奪われています…。

(寒くても雨でも花粉症でも気力が奪われているので、もう、いつだったら快適に動けるのか?という感じですが)

 

私にしては珍しく食欲も低下しているのですが、こんなムシムシ激アツの日々にすっきりした気持ちになるのにおすすめの飲み物がありまして。
青い猫のパッケージの、『プシプシーナ珈琲』というところの水だしコーヒーです。

www.pushipushicoffee.com

(麦茶パックみたいに、水につけておくだけでおいしく出せるコーヒーなのです)

パック詰めされてるアイスコーヒーは、酸っぱさとかえぐみが夏は特に気になっちゃうんですが、これは澄んでて飲みやすいですよ~。

あと、少し前に、かもめんたるのコントをYouTubeで観るのにはまっていました。

外向けに朗らかなキャラを演じている人の毒々しい内側が出てくる瞬間を拾い上げるところと、お笑いなのにホラーみを帯びていく(ことがある)ところが好き。

2人組のお笑いって一般的に「変な人VSふつうっぽい人(観客目線の人)」の組み合わせで進むことが多いのに、かもめんたるのコントは最初はそのような構造のように見せかけて、だんだんどっちも「変な人」だとわかっていく…という展開が結構あるところも好きです。私は、「『変』と『ふつう』の間にそんなにはっきりした線は引けるもんじゃないよ」って姿勢で世界をつくってる人が好きなんだと思います。

特に好きなのをいくつか貼っておきます。

 

youtu.be


(↑意外な展開に転がっていく切れ味が特に好きな作品。就職説明会で機械みたいにクリーンにまともにしゃべってる人が、話してる中でちょっと人となりとか不器用さを出してくる瞬間が私は好きで、なんかそういう感じを味わえます)

 

youtu.be

(この作品は展開というよりも設定とタイトルが好きです。「バルーンアーティスト ペルの受難」。かっこいい)

 

youtu.be


(このネタはテレビでもやってたらしいので知ってる方もいるかもしれません。お笑い風の糖衣で包んでるけども、ホラーです)

かもめんたるのつくるもの、全体的に、もうちょっとナチュラル女性蔑視的な表現がなくなったらもっと人に勧められるのになー…って思ってます。

 

さて、近況報告的な?おすすめコーナーが長くなりましたが、本題に入ります。


---

読んだもの、観たものを、書きなぐりのメモで記録します。完読できてないものも、書きたいことがあったらメモします。

すでに長めのレビューを書いてるものや書く予定のものは、基本的に除いてます(…と言いながら、ここで書いてる感想も割と長いんだけど)。

 

==評価基準(特に記載したいときだけ)==

\(^o^)/ 乾杯。愛。最高の毒なり薬。

φ(..) 特別賞(今後思い出すだろうシーン有等)

==ココカラ==

 


マンガ

青春は変態 φ(..)

シャンプーみたいに、恋愛の好みにもラベル分けが必要だと思う。
「かっこいい型」と「かわいい型」に。

かっこいい型っていうのは、スマートな気遣いとか駆け引きとかを楽しむ恋愛で、相手のたたずまいやふるまいが洗練されているほど恋心が高まる。
かわいい型っていうのは、互いのありようや関係性の不器用さ・スムーズじゃなさから生じるもどかしさ、おかしさを楽しむ恋愛で、相手の抜けてるところとかうっかり漏れ出てしまうところを見るほど恋心が高まる。

大人になるほどかっこいい型に移行すべきって思う人もいると思うけど、私はそれはなんだかゲームみたいだなと感じてしまって、すっかり大人になった今でもかわいい型の恋愛を素敵だと思う、自分がするにしても、物語として受け取るにしても。「かっこいい型」の土俵にのってるようで、実は相手のかわいげを見ることこそを楽しんでる人も、いると思う。

雑誌とかマニュアル本では「かっこいい型」の話ばっかり出てくるけど、これは相手のかっこ悪いところ・完璧じゃないところを見るとどんどん減滅しちゃうタイプの恋愛だから、長期的な関係を築く上で現実的じゃないのでは…と思う(そういうゲームを楽しめる人にとってはいいと思うけど、双方がそう思えているならば。現実の恋愛関係では、いいと思ってる恋愛の型が当事者間ですれ違っていることがいっぱいあって、そういうケースは破綻まっしぐら、だよね)。

 

で。前置きが長くなったけど、このマンガはかわいい特化型の恋愛マンガである。

ずー--っともどかしい。それが楽しい。
「いっつも手が変なポーズしてるな…ふふふ…」とか、「写真を撮ろうとしてるのを察してくれて、邪魔にならないように体を引いてくれたのか…?(やさしい)」みたいに、互いに互いを、あったかい目で観察してて。でもそれを直接言うと気持ち悪いと思われそうで、どちらも言えずにいる。

私は20代前半くらいまで、両想いになったときの楽しみとして、「片思い時代の一大事(思わせぶりなメールが来たこと、二人で遊ぶのに誘ってくれたこと、等)当時、相手サイドではどんな気持ちだったのか聞くこと」がすごくでかい!と思って生きていたんだけど、その双方の気持ちの答え合わせを最初から見せてもらえてるような…そんなマンガである。

 

同じ作者さん(山本中学さん)のマンガ『戯けてルネサンス』がすごく好きだった(戯けて…の感想を書いてる記事はこちら)のでこれも買ったんだけど、私はこの作者さんが描く男の子が本当に好きだな…。かわいいと思うポイントのツボが同じだと感じる(この巻に入ってる最後の話、特に!はー-好きー--!!高校生のときこんな出来事が起こったら、毎日寝るときに思い出して興奮して眠れなくなっちゃうだろうなー-)。

端から見ていてもどかしいのに、展開がスピーディーなところもいい。読んでてにやにやしちゃった。続きが気になる…。

(純情500%みたいな表紙だけど時々エロいシーンが出てくるので、気をつけて読んでね☆)


いつになったらキレイになるの?~私のぐるぐる美容道~ φ(..) 


以前、ニュースレターおすすめ記事を書いた、田房永子さんの最新作。
自分の見た目の変化を受け入れ、自分の姿をたまに好きだと思えるまでの、35歳~42歳の田房さんの試行錯誤をマンガと文章で記録した作品。

タイトルは「いつになったらキレイになるの?」となっているけど、冒頭で田房さんが書いているように、「一般的な美女」を目指す話ではない。美容好きの人が求めている内容とは、ちょっと違うかもしれない。美女ではないかもしれない自分を、時々好きだと思えるようになっていく話だ。

でもその、「自分を受け入れる」「自分で時々は自分のことを素敵だと思える」ための方法を発信した作品が増えるほうが大事なんじゃないかな…(美を極めよう的情報は、世の中にもう十分すぎるほどあるんだし…)と、私は思う。

(自分を受け入れる「自己受容」だいじ!と私が思うきっかけになった本、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』の感想を前にnoteに書いたので、ご関心あるかたはこちらもぜひ↓)

note.com


「見た目」の話、特に「自分の見た目が好きになれない」って話って、真正面から取り組むほど、どうしても重く暗くなりやすいと思う。見た目って、「その人の生まれながらのよさ」×「センス」の話、になっちゃうじゃないですか。生き方も反映されてる(と思われてる)部分でもあるし。だから、見た目を否定されると、その「否定した人」が自分自身であっても、かなりの太字で「ダメ人間」のレッテルを張られる厳しさがあると思うんすよね…。


しかし、そこはさすが田房さん。田房さんの面白さが爆発しているので、「テーマの重さ/つらさ」に読書を止められることがない。

まず冒頭、断食道場の壮絶な(しかし申し訳ないことにとっても面白い…)体験記から始まるところに驚いた。意外なカードすぎる、断食道場。最初の断食道場で嫌な思いをしたのに、間髪入れずにまた別の断食道場に挑戦するのにもびっくりした。とにかく今回も、田房さんの行動力がとてつもない。


そこから田房さんは…ホットヨガに行き、加圧トレーニングに行き、エステにもパーソナルカラー診断にも挑戦する。馬にも乗るし、新しいメイクも試してみるし、自分でイベントを企画したりもする(すごい)。田房さんは、行った先で嫌なこと・失礼なことを言われたりもするのに、自分の心とちゃんと対話して心の平和を取り戻してから、それでも外に出て行って、新しいことに触れていく。

私がこの本で一番感動したところは、たぶんそういうところだ。
「とにかくフットワーク軽くどんどん挑戦して失敗しちゃえよ!相談は『周りの目』じゃなくて、『自分の心』としながら。そうすれば、まあなんかどっかにはたどり着く!なにかしら楽しい瞬間には出会える!」
ってことを、行動で示してくれているところ。


一度失敗するともうだめだって気持ちになっちゃうこといっぱいあるじゃないですか…日々の疲れもある中せっかく一歩踏み出しても、世の中にはハードルばっかりじゃないですか…急な値上げ、嫌味とか失礼なこと言ってくる人、恐怖を煽って商品やサービスを売ろうとしてくる人…エトセトラエトセトラ。

それでも、怒ったり悲しんだりしながらでも、めげずに挑戦し続けたら、自分がちょっと嬉しくなる場所に辿り着くことができるかもよって、そう言ってくれる感じの本なんだ、これは。


巻末の清水ミチコさんとの対談に田房さんご自身の写真も掲載されてるんだけど、その笑顔がなんか一つ脱皮した方の解放感、みたいな軽さをたたえてて、素敵だった。

途中、ダンスの話も何度か出てくるんだけど。ああ、田房さんにすっごくリオのカーニバルに行ってみて、出場してみてほしいなあ!!!絶対田房さんはリオのカーニバルがお好きだと思うのになあ!!!と思いました。コロナが落ち着いたら…ぜひ…。
(※ご興味を持ってくださった方用に私の体験記も貼っておきます→こちら)。

 

あとあと、私が本書の中で一番好きだったフレーズは、「なんてステキなおしっこをするんだよ」です。

 

映画

叫びとささやき

たまには名作を観ようシリーズ(?)。
スウェーデンの上流階級の三姉妹と、この家で召使(←としか呼べない感じの雑な扱われ方をしている…)として働く女性の交流を描く話。

ストーリーはそんなに面白くなかった(ので、上記のストーリー紹介が雑…。古い作品ということもあって、価値観が共有できない部分が多く…(幼い頃のほうが、なんでも面白く思えたから単に私の許容範囲が狭くなった説もあるけど、フェミニズムについていろいろ読んだ今観ると、うえー…と感じてしまうことが多かった。女性の裸体を美しいもの・聖なるものととらえてるんだろうなって感じとかが苦手だった。←だから、裸体が「評価」の対象になることと繋がてって怖いと感じるんだよね…。女性の肉体を過剰に賛美したり「評価外」って嗤ったりするんじゃなく、ただそこにあるものとして受け止める映画のほうが、今は心地いい。『燃ゆる女の肖像』のように)。身分が低い人=心が美しい、みたいな描写も、今見ると偏見を助長してるよ…と思っちゃって。ギャルはいい子、みたいな…)。

でも、とにかくあらゆるシーンが美しい。
真っ赤な部屋に白い服の女性たちが佇んでいるところなど、絵画のようだった。いろんな映画監督(アリ・アスターとか)がこの監督の作品が好きだと言ってる理由は、きっとこういうところにあるのだろうな。鏡の使い方を見ても、アリ・アスターはこの人を参考にしてるとわかるね。


あと、タイトルがべらぼうに好きだ。

叫びとささやき

叫びとささやき

  • ハリエット・アンデション
Amazon


ライトハウス


『ミッドサマー』でおなじみの映画配給・製作会社、A24が噛んでる映画をもっと観たいぞ!と思って観た映画。

絶海の孤島で、1か月住み込みで働く灯台守の老人と青年、二人の関係が徐々に変化していく話。

 

こちらも、ストーリーはあんまり好みではなかったけど(神話っぽいストーリーなんだけど、私はそういうストーリーが苦手なんだ…エッセンスとして使うくらいじゃないと…)、モノクロの重苦しい空気で異世界にいるような気分になれたので、現実逃避としてはとてもよかった。昔の映画ふうに狭い画面で話が進むので、閉塞感がものすごい。
映画評論家の町山さんの解説を聴いて、より理解が深まった(解説は、恋人が買ったのを一緒に聴かせてもらった。町山さんは唯一無二の評論家なのにジェンダー観が更新されてないなーと思うことが多いから…そのあたりをちゃんと勉強してほしい…!)。監督は、とにかくその時代の背景をつくりこまないと気が済まない人で、この映画で話されている英語ですら当時の漁師のものを使っているらしく、現代に生きる英語話者が聞いても理解できないらしい。この物語をつくる上で参考にしたという二人の灯台守の実話が紹介されているんだけど、それがまた怖かったよ…。

ほとんど二人の芝居で進むんだけど、この二人の俳優さんたちの演技が大迫力で…。『フロリダ・プロジェクト』の管理人さん役が最高だったウィレム・デフォー氏と、『テネット』のニール役が激アツだったロバート・パティンソン氏(二人は他に有名な出演作がありそうだけど、私が観たことがあって印象に残ってる作品を挙げてみました)。『テネット』はストーリーに置いてかれてしまったあとパティンソン氏のかっこよさを追うのがほとんど唯一の楽しみだったんだけど(なんだろう、切ない色気がある人が私は好きなんだよね)、この映画だとぜんっぜん違う人に見える。デフォー氏も、ぜんっぜん違う人のよう。ある人間を目の前にしたときの印象って、もとの造形以上に仕草や表情でつくられるんだなと、俳優さんを見てると思うね…。
(いい演技なんだけど、悪天候の中や泥酔したところなど危なそうなシーンがいくつかあって、不安になった。公式サイトなど見る限り、なんだか(監督の)自由な感じで撮影したように思え、ちゃんと俳優さんやスタッフの安全が考慮されてたのか心配になってしまったよ…)

サシャ・シュナイダーの絵を参考につくられたシーンが衝撃的すぎて、笑ってしまった(そのびっくりを楽しみにとっておきたい方は、映画観てからググってください、サシャ・シュナイダー。これまで知らなかった画家だったけど、好きな絵だった)。ときどき、名画のオマージュとしてつくられたシーンを映画で見かけるけど、構図やモチーフを工夫して練ってる絵画のインパクトを借りるのは、映画を重層的にするために効果的だなと思う(浅い感想)。

 

 

臓器提供意思表示欄、なんとなく書いてないあなたへ:『新ブラックジャックによろしく』の感想

Kindle Unlimited対象の中に、読み応えのあるマンガはないものか…と探していて、とっても今更感があるけど読んだ。

(先がどうなるのか気になって、全9巻、一日で読破…)

 

かなり売れたし、(たしか)ドラマにもなったマンガ『ブラックジャックによろしく』の続編。

ーー
ちなみに無印の『ブラックジャックによろしく』は、情熱を持ってるけどいまいち頼りない研修医・斉藤英二郎が、総合病院のいろんな科をまわっていき、医療現場の苦しさとほんの少しの希望を知っていく話。

※ちなみに、無印の『ブラックジャックによろしく』は全話無料で読める。
(どちらかというと、画像を使いたい人向けのページですが一応…↓)

densho810.com

 
Kindleで読みたい方向け。無印もKindle Unlimitedに入ってるよ↓

私は自分の肉親が末期がんだとわかったとき、これを読んでおいてよかったって思った、心構えを少しだけ予習できたから。このような物語で、一般に「青天の霹靂」と呼ばれるようなできごとを、少しだけでも自分事として知っておくことはものすごく意味があると思う。医療は日々進化してるから、今となっては古くなっている情報もあるとは思うけど、「当事者になったら、どういう日々に直面することになるのか?」、その空気感は、あまり変わりないと思う。

だいぶ前に読んだので記憶が遠いけれど、当直のアルバイトの話と新生児集中治療室の話も印象的だった。


ーー

無印の話が長くなってしまったけど、「新」は、登場人物は引き継ぎつつ、臓器移植に焦点を当てて物語が進む。

脳死を死と考えるかは時代や文化によって変わること、脳死判定された人以外で(血縁者以外の)他者から臓器移植を受けることを解禁してしまうと生じるであろう問題点、移植を受けた人が感じる罪悪感など…。


私はこのマンガを読んで、運転免許証の臓器提供しますよ云々のところを、はじめてまじめに読んで、記入した。

これまで脳死判定されたあとの臓器移植についてぼんやりした認識しかなくて、母に「提供することにしちゃったら、遺族のもとに遺体が返ってくるまで時間がかかっちゃうよ、遺族は嫌だと思う」みたいなことを言われたために「そうか…じゃあ提供するのちょっと抵抗あるかも…」と思っていたけど。こういう手順で脳死判定されて、こういう手順で臓器等が提供される、ということがマンガの中に詳細に描かれているので、(少し古いマンガだから、今も同じ感じかはわからないけど…)、私の懸念は一気に解消したのであった。


(切られたところがボロボロになったらちょっと悲しいと思ってたけど、外から見たらなるべく元通りにしてくれるようなので、それならいいな、使えるものは全部使ってくれ、という気持ちになった!)

(あと、今よく考えたら「なんで私の身体の使い方を、近い人だとしても私以外の人の気持ちに左右されねばならぬのだ」と思っちゃうね。臓器も眼球も皮膚も、最後には燃やされちゃうんだから、他の人が生きるのに役立ててもらえるならそのほうがいいな、私は)

特に女性の描き方で「嫌だなー」と思うところが多かったり(女性の医師が職場の人から下の名前で呼ばれているとことか、男性主人公がなんだかよくわからないがもてるところとかね…)、相手の顔を立てるための「政治」描写が多かったりと、現在の私の価値観に照らすと人間ドラマ面ではおすすめできない作品だけど…読んでよかったと思う作品ではあった。


(私は、根回しとか暗黙の掟とかの文化がほんとに苦手なんですわ…。こないだ恋人に教えてもらってみたドキュメンタリーでも改めてそう思った(伝統的な暗黙の掟と戦おうとして、うまくいかない市長のドキュメンタリー)↓)

youtu.be



人工透析とはどんなもので患者さんたちはどんな負担を抱えて日々生きているのか、ということや、医師と看護師の意外な違いについて、医療の進歩のための動物実験についてなどにも触れられていて、勉強になった。

7月10日まではたぶん↓から全巻無料で読めるっぽいので、ご関心あるかたはぜひ。

www.sukima.me


無料期間終わっちゃったあと&Kindle Unlimited派の方用のリンクも貼っておきますわー↓

 

37歳女子高生の爆裂エネルギーに元気をもらおう!:映画『シニアイヤー』の感想

今日は、Netflixで配信されている映画『シニアイヤー』の紹介です。

最近は、ちょっと難しめの映画を観ることが多かったのだけど、これはひっさびさに盛大に笑える作品だった。
昔のアメリカ青春ラブコメのパロディになってる映画(私はそんなに青春ラブコメを通過してきてないが…)。

懐かしいファッションやらカルチャーネタやら出てくるので、特に30代〜40代の人におすすめ。私と恋人は同世代(30代半ば)なので、「わかる!!こういうファッション流行ったよね!!」トークでまたひと盛り上がりした。

f:id:arisam_queso:20220612165040p:image

(ほかにも、GALSで見たわ~っていうピンクのテンガロンハットとか、ハートがいっぱいついてるベルトとかが出てきます)

日本のドラマ『35歳の高校生』と設定が似てる…らしい(こちらも、私は観たことない)。

あらすじはこんな感じ↓

==

ステファニーはオーストラリアからアメリカに引っ越してきた女の子。中学時代は垢抜けなかったが、メイクや社交などいろんな面で努力して、高校では「スクールカースト」上位に君臨するチアリーダーのキャプテンになる。

しかし、ある出来事から昏睡状態に陥ってしまったステファニー。長い眠りから目覚めると、37歳になっていた。

なんとか青春時代を取り戻そうと高校に戻るも、20年経過した世界は彼女の知るそれとまったく違うものになっていた。憧れていたプロム(※)は「競争で悲しい思いをする子がいないように」中止になり、チアリーダーは女子も男子も同じ服を着ていて、学校の人気者はチアリーダーじゃなくて社会活動に熱心な生徒。

(※プロムとは→アメリカやイギリスなどの文化で、卒業前の高校生が参加する大きなダンスパーティーのこと。相手選びをどうする?!私は相手がいないけどどうする?…みたいな話が、よく映画やドラマに出てくる)

右も左も分からない世界で、ステファニーは失った高校生活を取り戻せるのか…?

==

ストーリーの流れは特に後半ちょっと雑な気もするが、勢いがあるギャグと魅力的なキャラクター達によって夢中で観終わった。

とにかく、ステファニーのエネルギーに圧倒される。20年前の価値観を引きずってる彼女は平気で同性愛者を笑いものにしたり下ネタを連発したりして、周りから白い目で見られて失敗ばかりしちゃうんだけど、昔の同級生たち(すでに生徒を見守る立場の大人になってる)や、今の同級生たちの話を聞いて、自分の考えを少しずつアップデートしていく。その上で、自分が挑戦したいことを声に出して、周りを巻き込んでいくステファニー。

彼女、作中では一見道化役っぽく描かれてるんだけど、自分が現役から20年後にいきなり高校生活もう一回やってって言われたとして、彼女のようにできる気がしない。たぶん教室の端っこで「高校生…怖い…話せない…きっと私の着てるものも髪型もダサいってみんなに笑われてる…」って、小さくなっちゃうだけだと思う。ステファニー、柔軟すぎる、めちゃくちゃすごい!
20年、昏睡状態でいたわけでもないのに価値観アップデートできてない大人山ほどいる中でさ…!

今の時代、誰かを踏みつけることなく「笑える」ものをつくるのってすごく難しいと思うけど、この作品はそれができてた(同性愛者のことに触れるならもうちょっと踏み込んでほしくはあったけども…。そこは(ネトフリで最近公開された作品つながりで言うと)『ハートストッパー』がやっぱり丁寧だね…)。

youtu.be

(↑ストーリー展開はベーシックなんだけど、それをクィアのキャラたちで描いているところ、つまりクィアの若者たちが自分を重ねられそうな設定で描いているところ、がとてもいい。ドラマ版は原作にはいなかったアセクシャル(他者に対して恋愛感情を抱かない人)のキャラが加えられているところも、すごくいい。ちなみに私は原作を映像化された部分の少し先のところまで読んだけど、「心の傷は愛情がありさえすれば癒せるってもんでもない」って話とかにも触れてて、大事な物語だと思った。原作は英語のみなら↓から読めます。私はそんなに英語できるわけじゃないけど、この作品はそれでも読みやすかった)

www.webtoons.com


『シニアイヤー』の話に戻りまして。
例えば日本のバラエティとかお笑いが取り上げる「笑える」ってさ、「ちょっと変」だったり「ずれてる」人を上から見るようなのが多いから、私は最近はつらくて、もう観られないのが多いんだよね…。この映画はつらくなくて、ゲラゲラ笑えた。そこに、ちょっと泣いた。

このヘルジャパンで生きていくのは日々大変だけど(特に政治関係…参院選をめちゃくちゃ悲観してる…)、この作品を観終わったとき、ひさびさにすかっとした気持ちになれた。エンディングがね…また最高にハッピーでね…。

疲れてる時、ちょっとビールでも流し込んでから観るのにおすすめな作品。元気出るよ〜。

予告編↓(日本語字幕は自動翻訳機能のみ対応してます)

youtu.be

 

 

日常4コマ:かりんとう

noteやってたときに時々描いてた日常4コマ漫画(エッセイ漫画)を久々に描いてみました。
三角なのが私(けそ)で、四角なのが恋人で同居人のノビオちゃんです。

ノビオちゃんは極端に硬いお菓子や揚げパンが好きな人で、しばしばパッケージを触って硬さを確かめようとするので、私はそのたびに止めています(もし硬くなかったら指の跡ついちゃいそうだから!←「僕ぐっと押し込んだりしてないよ、感触を指で確かめてるだけだよ!(ノビオちゃん談)」)。

本当のかりんとうの名前の由来も調べたのですが、ここのサイトの情報によると、ノビオちゃんが言ってた話もそんなに遠くないような(仏教は関係ないけど)。しかしよく考えると彼の言う「仏教界」とは何なのか、謎です←「須弥山のイメージだよ!(ノビオちゃん談)」)。

 

そういえば前にも恋人の嘘について漫画を描いたことがあるな…。

note.com

コンテンツ月記(令和四年、皐月)

2年前にブラジル(リオデジャネイロ)で撮った写真

読んだもの、観たものを、書きなぐりのメモで記録します。完読できてないものも、書きたいことがあったらメモします。すでに長めのレビューを書いてるものや書く予定のものは、基本的に除いてます(…と言いながら、ここで書いてる感想も割と長いんだけど)。


例によって、つい最近読んだり観たものの感想から、しばらく寝かせた感想まで、幅があります。

ほんとはドラマのおすすめについてもっと書きたいのだけど、全然追い付かない~~。フライング(?)で書いとくと、最近観たのや観てるのでおすすめなのは『マインドハンター』(Netflix。実在の犯罪者が実名で出てくる(もちろん本人ではないが)ドラマ。FBIのプロファイリングが確立されるまでを描いた1970年代を舞台にした話。制作総指揮、監督は、『ゴーン・ガール』とかのデヴィッド・フィンチャー)と『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』(もとはHuluだったのかな?私はアマプラで観てる。エカチェリーナ2世が嫁いでから皇帝の座に着くまでを描く(たぶん)話、一部実話をモデルにしてる。エカチェリーナの嫌な夫・ピョートル役を、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のニュークス(口にスプレーしゅー-でおなじみ)の人、ニコラス・ホルトが演じてるとこもアツい)です。前置きが長すぎてすみません。

 

==評価基準(特に記載したいときだけ)==
\(^o^)/ 乾杯。愛。最高の毒なり薬。
φ(..) 特別賞(今後思い出すだろうシーン有等)
==ココカラ==

 

今月のお品書き↓

 

■マンガ

今夜すきやきだよ \(^o^)/

とてもとても好きな作品…。
ほんとはもっと長く感想書きたい…。

フリーの内装デザイナーとしてばりばり働いてばりばり稼いでるけど、家事が苦手で結婚できるか不安だと感じているあいこと、家事が好きだけど心細い稼ぎに不安を感じている絵本作家&イラストレーターのともこ。あいこは恋愛体質で、ともこは恋愛への興味が薄い(アロマンティックなのかも)。家事をメインですること(byともこ)と、生活費をメインで出すこと(byあいこ)を交換するという条件で、シェアハウスを始める二人の物語。

ファンタジックな雰囲気もある絵柄も素敵…(受賞おめでとうございます!)。

私もこういう話が書きたい!!!
恋愛関係じゃないけど、「生活ユニット※」を組んでいる、特に女性たちの話が!

※生活ユニットとは、ささきののかさんが『愛と家族を探して』で使ってた言葉。一般的にはよく「疑似家族」として表現される関係性のことだと思うけど、「家族」って言葉を使わないで表現できたほうがいいなーと私は思うから、この言葉が好き。家族が「主」って価値観が私は苦手で、それだけを「当たり前」「ふつう」と押し付けてくる社会を変えたいから。

二人は、そこまで仲良くない友達の結婚式で久しぶりに再会した高校の同級生(学生時代は話したけど、くらいの間柄)なんだけど、その、「特に話や価値観が合う訳じゃない」二人が、「片方がお金多めに出すから、片方がその分多めに家事をやる」について利害関係が一致したってだけで生活をともにすることに決める、ってところがすごく「生活ユニット」でよい。

(でも、ほんとはさ、外注したり(←もちろん外注先で働く人を搾取してないか?確認したうえで)、外食したりすればいいんだから、絶対だれかが食事を手づくりしないといけないってことも、ないはずなんだよね。お金さえあって思い込みから解放されれば、もっと気持ちを楽にして生きていけるはずなんだよね…)

同じことを男女で「結婚」の形でやろうとすると(やろうとするとっていうか、現状は圧倒的にそうしてる人のほうが多い)、望むと望まざるとにかかわらずついてきてしまうオプションが多すぎる。たとえば、片方が(現状、主に女性が)改姓しないといけないこととか。

そう…改姓…。
作品の中には、たった4ページで、生まれ持った名前を変えなくちゃいけないことへの苦しさをぎゅーーーっと詰め込んで表現してるところがあって。

それが読めただけでも、この作品を買ってよかったと思った。

タイトルの通り、食事が大きな柱として据えられている作品で、おいしそうなものがたくさん出てくるところも楽しい。長時間じっくりゆでた肉っておいしいけど、自分じゃやらないから(めんどくさい…)羨ましいなあ。

 

あと、作中で出てくる、生活の中の楽しみをみつけるのが上手なキャラクター・シンタがすごく好きだった。

 

 

■アニメ

ラブ、デス&ロボット(シーズン3) φ(..) 

Netflixで観る。冒頭で書いたおすすめドラマ『マインドハンター』の制作総指揮・監督をしてるデヴィッド・フィンチャーと、『デッドプール』のティム・ミラーが製作総指揮に入ってるということで期待して。

文明が崩壊しかかってたりすでに崩壊してたり、人間が人間以外の何かと争ってたりするディストピアもので、数分〜数十分の短い作品のオムニバス。それぞれ基本的には一話完結なので(キャラが過去シーズンと繋がってるものとかはあるが←シーズン1も一部だけ観た)、気軽に観やすかった。グロ表現頻出なので、苦手な方はご注意あれ。エロ表現もあるので、お子さんにはおすすめできない。

ストーリーというよりも、演出が魅力的な作品がいくつかあった。特に好きだったのが、「彼女の声」という作品。
あらゆる作品がつくられ終わってるこの時代にもこんなに新しい表現ができるのか…!と感動した。音の使い方がかっこいい!!金属音の使い方、特に。編集もすっごくかっこいいの!あんなに画面に引き付けられてドキドキしたのは久しぶりだった。ダンスの可能性について考えさせられる作品でもあった。

 

ふおー---かっこいいー--。あと数回は観たいな。


昔、友達にDVD(そう、DVD…!)を借りてみたアニメのオムニバスを観たときの感動を思い出した。たしか、この作品↓

あと、「小さな黙示録」という作品によって、「エロもグロも遠くから撮ってればなんでも表現できる」という新しい表現方法を知った(これももちろん、アニメだからできることだけどね。倫理観度外視でやっていいという話でもない)。ミニチュア風の世界でゾンビパニックが起きる、スピーディーな作品。


こちらは予告↓

youtu.be

 

■映画

プレイタイム

昔の映画をちょっとずつ観ようと思って、時々手を出してる。

私は脚本家の坂元裕二さんが好きで、彼がこの映画を好きらしいという情報を入手したので、観た。U-NEXT のお試し中に。

英語圏(どこだっけな、アメリカ?)からパリ観光に来た有閑マダムみたいな女性たちと、オフィス街および商品展示場と、突貫工事で無理矢理オープンしたジャズレストラン(?)と、主人公のユロ(軍役経験者?で寡黙という中年男性のキャラ。すいません、疑問符使いすぎで)が絡み合って展開する、シュールなコメディ。

良くも悪くも牧歌的な内容。「見返りを求めず、女性に優しい男性主人公」みたいなキャラ造形にむかつくこともありつつ…、(作中、有名な観光地には行かないけど、それでも)夢みたいな大都会・憧れの街としてのパリが描かれてて、もう決して手に入らない幻を夢で眺めているような、ぼんやりした幸福感に浸りながら観た。特に好きなのが、ガラス張りの家の中が通りから見える、夜のシーン。外国の都会の、夜の住宅たちの雰囲気が私はたいてい好きで、でも身の安全を確保するためにはそういうところをぶらぶらするのは難しいことが多くて、この映画ではそれが好きなだけ観られて嬉しかった。寝る前に観ると、美しい旅の夢が見られるかもしれない映画だ。

ストーリーはゆるい雰囲気なのだけど、役者の動きなどは相当計算されてつくられているようだった。妙にハリボテっぽい空港のセットのシーンとか、目が幸せだった。なんだろうなあ、規則的な工場の動きを見ているときに感じる心地よさと似ている感じ…。人の流れが気持ちいいんだよね…。

商品展示場のシーンとレストランのシーンのギャグに、好きなのが多かった。坂本さんの脚本が好きな人なら好みの方向性の笑いじゃないかと思う。

 

(残念ながらアマプラでは観放題に入っておりませぬ…。タイトルのフォントとかも、入れ方がかっこいい)

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

こちらも坂元裕二さんが好きな作品ということで観た。4時間近くある長い長い映画…。実話を元にしているそう。

(私はU-NEXT体験中に観たのだけど、今は対象から外れてしまってるかも。。。

最初、キャラたちの関係性を把握するのに時間がかかって(結構な数のキャラが物語の冒頭からガンガン出てくる)、まずちょっと挫折しそうになったが、途中からなんとか関係性を把握することに成功した。

まあ、ちょっとあらすじを読んでみてください…。

 

1960年代初頭の台北。建国高校昼間部の受験に失敗して夜間部に通う小四(シャオスー)は不良グループ〝小公園“に属する王茂(ワンマオ)や飛機(フェイジー)らといつもつるんでいた。 小四はある日、怪我をした小明(シャオミン)という少女と保健室で知り合う。彼女は小公園のボス、ハニーの女で、ハニーは対立するグループ〝217”のボスと、小明を奪いあい、相手を殺して姿を消していた。ハニーの不在で統制力を失った小公園は、今では中山堂を管理する父親の権力を笠に着た滑頭(ホアトウ)が幅を利かせている。
小明への淡い恋心を抱く小四だったが、ハニーが突然戻ってきたことをきっかけにグループ同士の対立は激しさを増し、小四たちを巻き込んでいく。。。

『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』公式サイトより引用)

 

人間関係が難解すぎやしませんか?!

でも、観てよかった。

まず、「ハッピーな台湾」…じゃなかった時代のことを知ることができたから(もちろん今だって、何もかも「ハッピー」なわけはないんだけど、日本で語られる台湾ってのんびりしてて幸福度高そうなイメージが主流だよね)。
私は昔台湾の人と付き合っていたことなどあって、なんとなく台湾に思い入れがあるのだけど、台湾の歴史についてはほとんど無知だ…。

日本が降伏して撤退した以降の台湾で、中国共産党(大陸)サイドのスパイが紛れていないかを調べるために、民間の人たちにしょっちゅう尋問など行われていたことはまったく知らなかった。この映画にはそういう、身近にいる人たちを信じられない、疑心暗鬼なぴりぴりしたムードがしっかり反映されている(冒頭、字幕が出て説明もあるんだけど、子どもたちにもそういうムードが伝わっている。机や椅子の足を折って武器にするような喧嘩がしょっちゅう起こっていて…銃もばんばん出てくる。この映画を観てると、「銃刀法って大事なんですね」としみじみ思うよ)。
そういう時代を乗り越えての、今の台湾なんだな…。

あと、「キラキラの理想って、純粋すぎると破滅に向かう可能性もあるよね〜」という、結構身も蓋もない教訓を得られたところもよかった。夢をすべて否定する人も問題だけどね!完璧 or DEADの、グラデーションが存在しない思考はほんとに出口を塞いじゃいかねないからね!!

ストーリーとしては、すっごく面白かった!とは思わなかったけど、キャラ造形で好きな子たちが多かったな。私が特に好きなのは、小柄だけど勇敢で自分より強そうな相手でも友達を助けるためなら向かっていく王茂(あだなはリトルプレスリーで、そこがいい)。ヒロインの小明(劇中、めちゃくちゃモテてる)も唯一無二の素朴なかわいらしさで、これはみんな夢中になりますわ、と納得。ハニーも絶妙なキャスティング&服装だった。

あと、かっこよくて心に残ったシーンがいくつかあった。
ブラバンの演奏をバックに小四と小明が話をするシーンとか、暗闇の中の戦いのシーンとか。

(こちらも、残念ながらアマプラの観放題には入っていません。この↑デザインかっこいい~)

 

『作品』としてさらされる女性達:『恋じゃねえから』

低気圧と湿気が苦手な私にとって、地獄のシーズンが始まりつつありますが…がんばっていきまっしょう!

 

今日紹介するのは、マンガ『1122(いいふうふ)』の作者・渡辺ペコさんによる最新作『恋じゃねえから』。1巻について。

※なるべくがんばってネタバレ控えるようにしてますが、以下の内容は少しネタバレ含みます。

 

恋じゃねえから(1) (モーニングコミックス)

 

「恋愛だから」「芸術だから」と、もっともらしい理由の仮面をかぶって行われる加害に、メスを入れる作品です。日本の映画界・演劇界でMeToo運動が盛り上がっている今だからこそ余計に、より多くの人に読んでほしい内容になってます。
※でも、性暴力のフラッシュバックのおそれがある方は気をつけてくださいませ。。。


あらすじ↓
==

結婚し一人娘の母となった40歳の茜は、ある日、中学時代に通った学習塾の先生・今井が彫刻家になったことを知る。

彼が発表した「少女像」は、かつての親友・紫の姿によく似ていた。

「作品」となった14歳の紫に再び向き合ったとき、26年前の記憶が蘇る。封印していた1枚の写真、私の犯した罪。

あの頃、紫は先生と恋をしていた。そのはずだった——。


恋じゃねえから|モーニング公式サイト」より引用
==

 

あらすじだけ読むと、「像ってだけなら、そこまで問題ないのでは?」と感じるかもしれないけど、この像は、紫の身体的特徴をそっくり反映した「裸の少女像」だったんですわ…。信用できる人にだけ見せていたその姿を、勝手に再現して、誰でも見られるところに無許可で置く。めちゃくちゃ怖くないですかね?

この「怖いこと」「おかしいこと」と戦おうとするのは、40代の女性たち。40代の女性がメインキャラの作品(特に、「母親性」以外に焦点をあててる作品)は増えつつあるけどまだまだ世の中に少ないので、その点でもこの作品を応援してる。

この記事では、この作品が扱っているテーマの周りについて、私がこれまで学んだり考えたりしてきたことを、主に書いていこうと思う。

中高生の少女を、大人の男性が「恋愛対象」として、あるいは「性的な目で」見ること


『月曜日のたわわ』広告炎上の件で、「当事者である女子高生は怒ってないのに、外部にいるフェミばっかり文句言ってる!」みたいな論をTwitterに投稿してる人を見たけど、日本の多くの女子高生は、自分が(というか女子高生という存在が)どういうふうに世間に性的に搾取されているか、まだ認識できていないと思う。認識できてないものに対して怒りを向けることは、できない。

性的に価値があると思ってもらえることはラッキーだと思っちゃってる子もたくさんいると思う(私も10代のとき、そうだった。「アリ」だと男性に思ってもらえる女でありたいと思っていた)。だって世間は、そういう「恋愛対象の女であれ」「性的な女であれ」「若くてかわいい女であれ」ってメッセージを、生まれてからずーっと、CMやらドラマやら日常会話やらでたくさんたくさん、刷り込んでくるんだもの。

よっぽど意識的にそのことを「脱学習」しない限り、女性たちはこういう価値観を死ぬまで内面化し続ける。でもその価値観が、だんだん自分の首を絞めていく。

(こういう苦しさについて詳しく書いているのが、『女子をこじらせて』。そこから少しだけ解放されるラストも含めて、私はこの本が大好き)

 

 

で、です。中高生(特に女子)と、(大人である)先生(特に男性)の「恋」がいかに危ういかっていうことも、中高生の当事者で気づけている人は少数派だと思う。私は中学生のとき、「女子中学生の生徒との(性的な行為含む)恋愛模様を書いてる、男子大学生のホームページ」を読んでて、同級生の男子と、更新された内容について話して「あれやばかったよね?」ってゲラゲラ笑ったりしてた。『あいのり』観て、感想を話し合うのとおんなじ感覚で。それがどういうふうに怖いことか、危ないことかなんて全然わかってなかった。
人気のマンガの中でも、大人っぽい高校生女子のキャラが大人の男性と付き合ってるって描写は頻出してた(『彼氏彼女の事情』とか←作品自体は大好きなんだけど、この設定は徹底的にアウトだと思う)。今思い出したけど、私自身が高校生の時に、同級生で10歳以上年上の人と付き合ってる友達もいた。それが「危ないことになるかもしれない」って教えてくれる情報には全然出会わなくて、「この子は大人っぽいから、大人じゃないと相手としてバランスが取れないんだな」って納得してた。

だからこそ、中学生・高校生のほうじゃなくて、大人たちのほうが、「10代の子に大人が性的な要求をするのは、恋愛という言葉で許されちゃいけない」ってはっきり認識しておかないといけないと思ってる。

大人が、恋愛の仮面をかぶって性加害に及ぶってことは私の「妄想」じゃなくて、実際に被害に遭っている人がいっぱいいる。
大人に「恋愛」だと言われて納得してしまっていた子たちについての記事↓

dot.asahi.com

 

この問題点を扱った作品として、自身が恋だと思っていたことが実は性被害だったと、大人になった主人公がだんだん気づいていくというストーリーの映画『ジェニーの記憶』もおすすめ(前にnoteに書いた感想はこちら)。
ただしこちらも性加害シーンがあるので、フラッシュバックのおそれがあると思う方は注意してくださいませ…。

女性たちを消費する「芸術」たち

『恋じゃねえから』の1巻は、紫と茜の二人で、件の像を取り下げてもらえないか交渉するも難航する(というか、ほとんど拒絶される)ところで終わる。これから二人がどうやって交渉を進めていくかが2巻からの見どころになると思うのだけど。

今、スクリーンにかかっていたり、配信されている映画の周りには、「像の取り下げをとうとう認められなかった紫」みたいな気持ちになっている(特に)女性たちがいっぱいいる。
そもそも取り下げてほしいと言い出すことも思いつかないほど傷ついてしまった人も、言い出すことが怖くて泣き寝入りしている人もいるだろう。ドラマや演劇の世界でも、同じことが起こっているだろう。

冒頭で、映画界・演劇界のMetoo運動のことについて触れたけど、ここ数年、好きだった男性映画監督たちが作品に出演してた女性俳優たちに性暴力をふるったことがわかる件が頻発していて、私はそれがすごくすごく悲しくて。キム・ギドク氏も、園子温氏も、そう…。

www.afpbb.com

 

www.jprime.jp

(その後園監督からは謝罪文が出ているんだけど、自分のしたことをちゃんと認識できているとはとうてい思えない内容だった)


私が彼らの映画を「いい」と思ってたのは、「どろどろ渦巻いている欲望は、実際の加害の形で発散するしかないんじゃなく、作品として表現するエネルギーに向けることもできるんだ」と信じてたから。それは希望だなって思えたから(私は自分の父親にされてきた言葉の暴力に対して燃えるような怒りをずっと持ってて、それは文章やマンガをつくる大きな理由の一つになっている。彼に直接復讐したい気持ちのエネルギーを、捻じ曲げて創作に向けている←ほんとは、私に必要なのはカウンセリングだと思うんだけど、継続的にカウンセリングを受けるのにはお金がかかるし、なぜ被害者の自分がお金を出さなくちゃいけないんだろう、と途方に暮れる)。

でも、彼ら(キム氏・園氏)に対して私が持っていた希望は実は幻想でしかなかった。芸術って方便を使って、彼らは性加害に及んでいた。「自分と性行為をすれば、映画に出す」と言ったり、「自分と性行為をすることで、映画の役に立つ/映画でもっと綺麗に映ることができる」と言ったり、予告もせず同意も取らないで性的なシーンを撮ったりして。

彼らの生い立ちについても読んだことがあって、特にそれぞれのお父さんとの関係について、彼らも心の傷を抱えていたんだと感じている(そのことも、彼らの作品に私が共感していた理由だった)。でもその傷は、他の人に加害することを正当化する理由にはならないんだよ…。

私が本当にがっかりすることは、私も彼らの作品を観ることで、嫌な思いをして演技をしてた女性たちを、知らないうちに「消費」しちゃってたことだ。

同意や配慮なく撮られた性的なシーンを観客が観続けるということは、それだけでその出演俳優にとって苦痛だと思う。
さらに、加害の上につくられた作品が多くの人に観られ続けると、加害者である監督やプロデューサー達が高い評価を得続けることになり、彼らはますます権力を持って、「芸術」の名の下の性暴力がますます止められなくなる。

私は、誰の尊厳も傷つけられずにつくられた作品が観たい。
作り手や受け手の心の安全に配慮することと、面白い作品をつくることは、両立できるはずだ。

作品にかかわる人みんな(特に権力を持っている人)が、「自分のすることが加害になってしまうかもしれない」と危機感を持って、何が加害になるかちゃんと知識を持っていれば(というか、本来そういう意識がなかったら作品をつくるべきじゃないと思う)。


どうしたら、配慮してものづくりをしてる人を応援できるかな…と考えて、「性暴力の加害者であるスタッフ・演者がかかわっている映画を観ないようにする」っていうのを、できる範囲で(情報が調べられる範囲で)実践してる。

私が使っているのは、Rotten Applesというサイト(前にTwitterでこれを紹介してくれている人がいた)。

therottenappl.es


作品名を英語で入力すると、その作品のスタッフや演者に、性暴力で告発された人がいるかどうか表示される。

therottenappl.es

↑たとえばこれは、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を調べた結果。「rotten apples(腐ったリンゴ)」と赤い文字で表示され(スタッフや演者に性加害者がいるとき、この文字が表示される)、監督とプロデューサーが加害者であることが表示されている。彼らの名前をクリックすると、彼らの性加害について詳細を知ることができる記事に飛ぶ。

therottenappl.es ↑『燃ゆる女の肖像』を調べた結果、映画のスタッフ・演者に性暴力加害者がいないという意味の「fresh apples(新鮮なリンゴ)」という文字が黄緑色で表示された。

 

取り扱われているのは主に英語の作品だけど、最近、映画を観る前はなるべくこれをチェックするようにしている。調べ始めると、性加害者のスタッフや演者があまりに多いことに驚き、「演者にとっても安全につくられた作品だけを観ようと思うと、世の中のほとんどの作品が観られなくなっちゃうんじゃないか?」とすら思う。でも、「観たい気持ちを通す権利」よりも、「出演者の、心の安全を踏みにじられてつらかった気持ちをこれ以上繰り返さないこと」を大事にしたい。どう考えてもそれは「観たい気持ち」より大事だ、本来そういう作品は、世に出るべきじゃなかったはずだから。

ーー-

「恋愛」あるいは「芸術」のフリをした性暴力の問題について、映画やドラマを通じて世間に伝えようとしても、実写の場合は演じる役者さんの心を守るのが難しい部分もあると思うから(演じることで暴力シーンを疑似体験することになり、トラウマになってしまったり)、架空のキャラクターでそれが実現できるってとこに、マンガ表現の可能性を感じたりもしている。

マンガそのものの中身についてあまり書けなくて残念。

少女像のモデルになった紫と主人公(茜)の中学生時代のエピソードで好きなところの話とか(茜が口にする自虐ギャグを、紫は真面目に・しかも茜がみじめにならない形で、否定してくれて、そのことを大人になってからも茜は覚えてるの…涙)、理解あるようで実は自分のつらさの本質を見てくれてないパートナーってきついよね…とか、思うとこもろもろあるのだけど…。
長くなりすぎちゃったので終わる…。

とにかく、今追うべきマンガだと思うので、親愛なる読者の皆々様、ぜひ。

 

 

コンテンツ月記(令和四年、卯月)

f:id:arisam_queso:20220405164859j:plain

私が住む東京ではすっかり桜の時期は終わったけれど、4月号なので桜の写真を。2年前、世界一周を(コロナで)断念して帰国したとき撮ったもの。帰国は悲しかったけどほっとした。

読んだもの、観たものを、書きなぐりのメモで記録します。完読できてないものも、書きたいことがあったらメモします。すでに長めのレビューを書いてるものや書く予定のものは、基本的に除いてます(…と言いながら、ここで書いてる感想も割と長いんだけど)。


例によって、つい最近読んだり観たものの感想から、しばらく寝かせた感想まで、幅があります。ちょっとずつ書いていきましょうね…。

 

今月のお品書き↓

 

==評価基準(特に記載したいときだけ)==
\(^o^)/ 乾杯。愛。最高の毒なり薬。
φ(..) 特別賞(今後思い出すだろうシーン有等)
==ココカラ==

ドラマ

(最近、配信のドラマは1話30分くらいのが多くて、映画より観やすいのでよくドラマを観ていますの…)

思うままの世界 \(^o^)/

アマプラで観た。今年観たドラマベスト5に入ることは確実だろうなーという作品。
1話1話それぞれが素晴らしく、テンポもよく、笑いと感動の濃厚さがすごかった…。すっごく予算がかかってる作品じゃないと思うんだけど、満足度が高かった。お金をかけなくても良い作品はつくれるっていうお手本だと思う。
私が観たいのは、こういう作品です!!!

シェアハウスで暮らす自閉症スペクトラムの3人の若者と、家族やヘルパーなど彼らをとりまく人々を描いたアメリカのドラマ。
私自身が、最近知的障害・発達障害をもつ人たちにかかわるアルバイトを始めたこともあって、いっぱい思うところあった…。


まずこのドラマの進んでると思うところは、この自閉症スペクトラムの若者たちの役を、実際に自閉症スペクトラムの役者さんが演じているということ(本当は、そうじゃない現状のほうがおかしいんだけど)。

ファストフード店でレジの仕事をしていて恋愛や性行為に憧れているヴァイオレット、天才プログラマーで社交辞令が大嫌いなジャック、音に敏感で歴史に詳しい穏やかなハリソン。それぞれが苦手なことも得意なことも全然違って、一口に「自閉症スペクトラム」と言ってももちろんいろんな人がいるんだという…当たり前だけど大事なことが、このドラマを観たらよくわかる。

みんなチャーミングな人たちで、どんどん夢中になって観た。でも、「たとえば家族という立場でずっと一緒にいると、困りごとに対処しきれなくなっちゃうかもしれない…」ということも同時に感じた(たとえばハリソンは卓球が大好きでいつまででも卓球をしたがる人なのだけど、彼の家族はずっとそれに付き合うことを「ちょっと現実的じゃない、希望にはなるべく応えたいけど」って思ってる)。障害があることを「ギフト」と言って持ち上げたって、実際に生きていく上で立ちはだかる困難は消えないわけで…。ただの「厄介者」として描くのでもなく、「特別な存在」として描くのでもない、日常ドラマだったところがとてもよかった。外国に行くと違う文化やルールで人々が動いていることを感じるんだけど、障害を持つ人の世界もそれと同じで、違うルールで動いているんだろうな、と最近思う。それを、無理やり定型発達の人のルールに合わせようとするから、困難が生じちゃうんじゃないかな…。どうしたらうまく一緒に暮らしていけるんだろう。

聴覚障害者のご両親がいる五十嵐大さんの連載「聴こえない母に訊きにいく」を読んだときも、そんなことを思った)

ドラマの話に戻ると、3人を取り巻く人たちもすっごく魅力的で、よかった~。
私は、特にヴァイオレットのお兄ちゃんのヴァン(困ったような笑い方に胸がきゅっとなる)と、ジャックのお父さんが通う病院で看護師として働くエワトミ(ユーモラスでまっすぐで旺盛な好奇心で人生を楽しんでいる人…)が好き。

 

一つ気になったのは、AVに出演していた女性が、ある男性たちが仲良くなるきっかけとして「使われている」こと。このドラマは、自閉症スペクトラムの人の性についても真剣に描こうとしていてそこはすっごく大事なことだと思うんだけど、だからと言って女性を男性が仲良くなるための「道具」としては配置してほしくなかったなあ…。


と、気になる点もありつつ、もうずーっと泣きっぱなし笑いっぱなしで心を動かされたドラマだったので、シーズン2を心待ちにしている!

これを観る機会をつくってくださったシネマンドレイクさんに感謝。

 

行かないで

行かないで

  • デレ・オグンディラン
Amazon

 

ヒヤマケンタロウの妊娠 φ(..)

Netflixで観ている。
まだ完走はできてないけど、もっと話題になってほしいので紹介する。こういう作品こそ、地上波でやってほしかったんだけどなあ。
マンガ原作のSFドラマです。原作者は『シジュウカラ』(こちらも最近ドラマ化されましたな)の、坂井恵理さん。

舞台は、シス男性が妊娠する現象が生じた世界。日本でも、毎年40人ほどのシス男性が妊娠している。主人公は、そんな男性妊娠をまったく他人事だと思ってきた広告代理店勤務のエリート会社員・桧山健太郎(演じているのは斎藤工氏)。仕事は絶好調、適当に遊ぶ女の子が何人もいて、子供を持つ余裕なんてないと思って生きてきた。そんな彼が、まったく予想外のタイミングで妊娠してしまってどうなっちゃうのー!?という話。

原作者の坂井さんもインタビューで答えていたけれど、実際に人間が演じるとこんなにも「男性妊娠」に説得力が生じるのか…!とまずそこにびっくり。妊娠するとつわりが生じるってことは認知度が高いと思うけど、体毛が濃くなったり、乳首の色が濃くなったり、急に母乳(このドラマの場合は「父乳」だが)が出たりすることって知らない人もいるんじゃないかな(←私もこれらは実体験じゃなくて知識として知ってるだけですが…)。そういうことを「教育ドラマ」「お説教ドラマ」にせずに、ちゃんと観やすく面白く仕上げているところが良いと思う。
妻の妊娠・出産を「手伝おう」くらいにしか思えていない男性、全員観たほうがいいのでは…。

(連載版をネットで読んでるので、単行本版はまだ読めてないけど…)峰なゆかさんのマンガ『わが子ちゃん』をあわせて読むときっといいんだろうなあと思ったり。

(峰さんらしい、コミカルだけどしっかり問題点がおさえられてる、絶妙なバランス感覚のマンガ。ネットの連載で読んだ話には、「お父さんたちも赤ちゃんの重さを体験しましょう」としてお腹に重りをつけるイベントがよくあるが、それだけでは女性たちが体験しているその先のキャリアへの不安感も吐き気も体形の変化もまったく体験できなくて、それだけでわかった顔されてもまったく不十分なのだが!?というエピソードとかが描かれていた。ドラマ『ヒヤマケンタロウ…』では、妊婦未経験者の人にもそういうキャリア的な不安等も臨場感を持って伝わってくると思う)


ドラマの話に戻って。
ネットの情報によると、アメリカで本作は「トランス男性の妊娠を描いた作品なんだろう?」と勘違いされて、炎上しているらしい。トランス男性の妊娠を描いたら叩かれるってそれがそもそもおかしいよな…。

 

脇を固めるキャストに、筒井真理子さん(映画『よこがお』も『淵に立つ』も素晴らしい演技だった!)や高橋和也さん(映画『ハッシュ!』と『そこのみにて光輝く』の演技が特に好きです!)。豪華~。
さらに、『あのこは貴族』の岨手由貴子監督が脚本として参加してる!!豪華~。この人たちがかかわってるドラマなら信頼できるだろうと私と恋人は安心して観ています笑。

 

youtu.be

 

マンガ

AV女優ちゃん(2・3巻) φ(..) 


元AV女優のマンガ家・峰なゆかさんによる、実体験を大いに反映しているんだろうな…な、AV女優のお仕事マンガ。コミカル風を装っているけれどもすごく重い。巻を追うごとにどんどん内容が重くなっていく…。軽いタッチで描かれているけど、AV女優として働く人の安全はまったく守られていないことに何度も触れていたりして(たとえば撮影中に女優が妊娠したりしても、制作会社はその責任を一切負わない)、これをSPA!で読んでるAV好きの人ってどんな気持ちなんだ!?(←私はこの連載の気になる回があったときだけSPA!を(Kindle Unlimitedで)DLして読んでるんだけど、エロい女の子の写真とセックスの話ばっかりで、ほんとにこれ読んでる人みんなそんなに性欲が有り余ってるの!?と毎回驚いている。性欲が旺盛なことそのものは問題じゃないけど(加害に向かわないのであれば)、それってほんとに自分の中から発生してるものなの!?欲望を無理やり煽られてるだけなんじゃない?)

2巻には、障害をもつ女優はAVに出られないことになってるという話やAV男優になるまでの道のり、AVの歴史なんかの話が、3巻には、知り合いにAV出演がばれてしまった女性の話や無許可で海外の島で撮影を行う話やAV界での熟女の定義は28歳以上であること(!?)なんかの話が出てくる。

特に3巻に出てくるある女優の、女のことが嫌いな女になるまでのエピソードがつらかった。『82年生まれ、キム・ジヨン』に撃たれた人にはぜひ読んでほしい巻。

2巻の巻末には、峰さんとウシジマくんの作者・真鍋昌平さんとの対談が載っていて、これがまたすっごく面白くておすすめ。「『ブスと美女の中間』を描ける作家は少ない」って話とか(めっっちゃわかる。マンガにおいて、「女」であることを示す記号が目がぱっちりだったりスタイルいいとかだったりするんだよな!!!)、「クズ」には「自己完結型」と「出世型」の二種類がいるって話とか、峰さんが出会ったアンバランスな金銭感覚を持つAV女優友達の話とか、この二人の対談だからこそ読める内容がいっぱいあって大満足だった。

 

 

Happiest in the Universe: 宇宙一幸せ日記 φ(..)

Twitterでフォローしているレズビアンカップル・おーちゃさんと、その彼女ぴ・うーちゃさんの、日常マンガのまとめ(自作本)。今のところ、Kindle Unlimitedの対象になってる。


私は、複数の人間が一緒に住むために必要なのは愛よりむしろ互いを尊重する気持ちだなーとここ数年思ってるんだけど、愛と尊重がマックスなお二人の生活の様子は、「ここには世界平和がある…」と癒される。

(日本、なんで同性婚がまだできないのか。理不尽すぎる!!!)

作者のおーちゃさんは、生活の中に嬉しい瞬間を見つけることや、楽しくなるため・快適になるためにお金を使うことが上手な方なので、自分の生活に取り入れられるアイデアもいろいろあると思う。近所の行ったことがないパン屋さんに行ってみたり、アイマスクをつけて瞑想する時間をつくったり。
読んでいると自然と笑顔になってしまう…。とにかくかわいい…。